持病のある方や大きな病気を経験された方でも加入できる緩和型医療保険。
生命保険各社が緩和型医療保険を発売していますが、その告知事項(加入条件)や保険料はピンキリです。A社の緩和型医療保険に加入できなかったとしても、B社だったら加入できた!なんてことはよくありますし、保障内容は同じでも保険料が2割から3割程度高くなることもあります。
この記事では各社が発売している緩和型医療保険の告知事項と保険料を比較してみます。比較対象の緩和型医療保険は以下のとおり。
⑪三井住友海上あいおい生命「&LIFE 医療保険Aセレクト(引受緩和型)」
ひとまずは、上記の緩和型医療保険から選んでおけばハズレを引くことはないかと。
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告知事項を比較する
医療保険に加入するには「告知事項」に回答する必要があります。
告知事項とは、健康状態のアンケートみたいなもの。現在の健康状態や、過去の病歴なんかを聞かれます。この告知事項で条件を満たせない場合は
「せっかくお申込み頂いたのですが、ちょっと無理です…」
と、保険会社に加入を断られてしまいます。
通常の医療保険は告知事項がけっこう厳しいです。持病のある方や大きな病気を経験された方だと基本的には加入NG。
「せっかくお申込み頂いたのですが、ちょっと無理です…」
とあっさり言われて終了です(保障額を削減して加入できる場合もあり)。
その告知事項をゆるくして、持病のある方や大きな病気を経験された方でも加入しやすくしたのが緩和型医療保険です。
緩和型医療保険の平均的な告知事項は以下の3点。下記3点が全て「いいえ」であれば加入できます。
条件①
最近3か月以内に、医師から入院・手術のいずれかをすすめられたことがありますか。
条件②
過去2年以内に、病気やケガで入院をしたこと、または手術をうけたことがありますか。
条件③
過去5年以内に、がんまたは上皮内新生物・肝硬変・統合失調症・認知症・アルコール依存症で、医師の診察・検査・治療・投薬のいずれかをうけたことがありますか。
しかし、各社微妙に告知事項の内容が違います。A社だと加入NGだったけど、B社なら加入できたということがあり得ます。
下表に比較対象とした緩和型医療保険の告知事項をまとめます。
条件① | 条件② | 条件③ | |
なないろ | 3か月以内に入院or手術or放射線治療をすすめられた | 1年以内に入院or手術or放射線治療 | (条件なし) |
メディケア | 3か月以内に入院or手術or先進医療をすすめられた | 2年以内に入院or手術 | 5年以内にがん・肝硬変・統合失調症・認知症で診察 |
FWD | 3か月以内に入院or手術をすすめられた | 1年以内に入院or手術 | 5年以内にがんと診断or統合失調症・肝硬変・アルコール依存症・認知症で入院 |
ネオファースト | 3か月以内に入院or手術をすすめられた | 2年以内に入院or手術 | 5年以内にがん・肝疾患・精神疾患・腎疾患で入院or手術 |
オリックス | 3か月以内に入院or手術or検査をすすめられた | 2年以内に入院or手術 | 5年以内にがん・肝硬変・統合失調症・認知症・アルコール依存症で診察・検査・治療・投薬 |
あんしん | 3か月以内に入院or手術or検査をすすめられた | 1年以内に入院or手術 | 5年以内にがん・肝硬変・統合失調症・アルコール依存症・認知症で診察・検査・治療・投薬 |
ひまわり | 3か月以内に入院or手術の予定がある | 2年以内に入院or手術 | 5年以内にがん・肝硬変で診察・検査・治療・投薬または入院・手術 |
メットライフ | 3ヵ月以内に入院or手術またはガンの疑いでの再検査・精密検査をすすめられた | 1年以内に入院or手術 | 5年以内にガン・肝硬変・統合失調症・アルコール依存症・認知症と診断or入院or手術 |
はなさく | 3カ月以内に入院・手術・検査・先進医療をすすめられた | 2年以内に入院or手術or先進医療 | 5年以内にがん・肝硬変・認知症・アルコール依存症・統合失調症で診療 |
チューリッヒ | 3カ月以内に入院・手術・検査・先進医療をすすめられた | 2年以内に入院or手術 | 5年以内にがん・肝硬変・認知症・アルコール依存症・統合失調症で診察・検査・治療・投薬 |
あいおい | 3カ月以内に入院・手術をすすめられた | 1年以内に入院or手術 | 5年以内に、がん・認知症・アルコール依存症・統合失調症・肝硬変で診察・検査・治療・投薬 |
条件①に各社大きな違いはありません。
「検査」が含まれてる緩和型医療保険もありますが、これは主に健康診断で要再検査・要精密検査と判定されたケースを指します。再検査で問題なければ加入できることが多いです。
また、「先進医療」が条件に含まれる緩和型医療保険もチラホラとありますが、先進医療とは公的健康保険の適用対象とするか評価段階にある医療技術を指します。まだまだマイナーな治療ではあるので、受けたことがある方は少数でしょう。
続いて条件②。
直近で入院または手術を受けてからの期間が1年以内と2年以内に分かれます。もちろん条件がゆるいのは「1年以内」。入院もしくは手術してから1年以上2年以内の方で、急いで医療保険に加入する必要がある場合は「1年以内」が条件の緩和型医療保険のみ選択肢です。
ちなみに、後を引きずるような入院・手術でなければ、加入OKとなることが多いです。例えば、食中毒や熱中症、インフルエンザの入院だとか、虫垂炎やケガの手術だと加入OKとなることがあります。
最後に条件③。
思い切ったのがなないろ生命「なないろメディカルスーパーワイド」です。条件そのものがありません。
なないろ生命は
- 3ヶ月以内に入院や手術、放射線治療をすすめられていなくて(条件①)、
- 1年以内に入院や手術、放射線治療をしていない(条件②)
のであれば、誰でも加入できます。
持病があったり大きな病気を経験したりしていて、医療保険の加入を断られ続けている方にとって最後の希望がなないろ生命です。保険料はそれなりに高めですが、どうしようもなくなった最後になないろ生命があります。
その他の緩和型医療保険だと、条件はほぼ同じ。5年以内にがん・肝硬変・統合失調症・アルコール依存症・認知症の治療を受けていれば、加入NGとなる緩和型医療保険が大半です。
保険料を比較する
続いて保険料を比較します。
緩和型医療保険の保険料は高いです。健康な人が入れる医療保険の保険料に30%から40%程度割り増しされてます。
なので経済合理性(元を取れるかどうか)で考えるなら微妙なことが多いのですが、
「いつ再発してもお金はなんとかなる」
「長期入院になっても、お金のことで家族に迷惑はかけない」
というように、日々の不安を少しでも減らすことも保険の重要な役割です。
とはいえ、無駄なお金は1円も払いたくはありません。少しでも保険料が安い緩和型医療保険に入りたい…。
ここでは
- 入院保障は入院1日5,000円(入院1回60日限度)。
- 3大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)の入院は無制限保障
- 手術保障あり。
- 先進医療特約は付加する。
といった、必要最低限の保障内容で、月々の保険料を比較してみます(代表例として40歳・50歳で比較)。
男性 | 女性 | 備考 | |||
40歳 | 50歳 | 40歳 | 50歳 | ||
なないろ | 4,505円 | 5,378円 | 3,894円 | 4,570円 | 手術1回5万 3大疾病無制限保障なし |
メディケア | 3,540円 | 4,520円 | 3,435円 | 4,215円 | 手術1回入院5万円・外来2.5万円 |
FWD | ◎2,939円 | ◎3,820円 | ◎2,689円 | ◎3,364円 | 手術1回入院5万円・外来2.5万円 |
ネオファースト | 4,655円 ※3,212円 |
5,750円 ※4,180円 |
4,415円 ※2,879円 |
5,426円 ※3,656円 |
手術1回入院5万円・外来2.5万円 ※健康割引特則適用時の保険料 |
オリックス | 3,575円 | 4,425円 | 3,225円 | 3,920円 | 手術1回入院5万円・外来2.5万円 |
あんしん | 4,056円 | △4,246円 | 3,556円 | △3,636円 | 手術1回入院5万円・外来2.5万円 |
ひまわり | 4,725円 | 5,635円 | 4,365円 | 4,960円 | 手術1回2.5万円~20万円 |
メットライフ | 4,870円 | 6,085円 | 4,780円 | 5,745円 | 手術1回入院10万円・外来2.5万円 |
はなさく | 3,454円 | 4,344円 | 3,259円 | 3,879円 | 手術1回入院5万円・外来2.5万円 |
チューリッヒ | △3,265円 | 4,440円 | △3,180円 | 3,945円 | 手術1回入院5万円・外来2.5万円 |
あいおい | 〇3,034円 | 〇3,834円 | 〇2,999円 | 〇3,474円 | 手術1回入院5万円・外来2.5万円 |
最安値を◎、2位を〇、3位を△で表しています。
性別・年齢問わず最安値はFWD生命「FWD医療引受緩和」。
FWD生命「FWD医療引受緩和」は保障内容にも目立った欠点はありませんし、オプションの種類も豊富。他社から一歩抜き出た存在です。加入条件(告知事項)も比較的ゆるいので、緩和型医療保険を検討するのなら、まずはFWD生命です。
ただし、FWD生命はころころと社名が変わる外資系(香港系)の生命保険会社なんですよね。
持病がある方や大きな病気を経験された方だと、医療保険の乗り換えは難しいです。契約した医療保険を一生涯頼ることが大半です。
そんな一生モノの医療保険を、買収されてころころ社名が変わる外資系の生命保険会社に任せていいのか。そういった不安は確かにあります(特に年配の方に多い)。
まあでも仮にまた買収されたとしても、原則的には買収先の保険会社が既契約を引き継ぎますし、万が一保険会社が破綻したとしても、日本には生命保険契約者保護機構という組織があるので、保険契約が全く無効になることはあり得ません(保障額の減額はあるかもしれませんが)。
それでもFWD生命に不安を感じる方の受け皿になるのが、2位の三井住友海上あいおい生命「&LIFE 医療保険Aセレクト(引受緩和型)」です。
上表の保険料は
- 5日以内の入院でも入院給付金5日分を給付(短期入院の保障が厚い)
- 三大疾病だけでなく、八大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患・高血圧性疾患・大動脈瘤等・糖尿病・肝疾患・腎疾患・膵疾患)の入院を無制限保障
といった保障を含んでいるのですが、その点を加味すればFWD生命と保険料は互角かなと。オプションの種類もFWD生命に負けないくらい豊富なので、現状で言えばこの2社で比較するのが効率的な緩和型医療保険の選び方でしょう。
緩和型医療保険の相談をするなら。
この記事では11社の緩和型医療保険を比較してきましたが、全てを取り扱ってる保険ショップは多くありません。
保険ショップによって取り扱っている保険会社は異なるので、
「あ、うち、メディケア生命とは提携してるんですけど、はなさく生命やってないんですよ!」
だとか、
「FWD生命はやってないんですけど、〇〇生命とは提携しているので、〇〇生命に決めちゃいましょう!」
といったこともよくあります。
そんなことにならないためにも、事前に最寄の保険ショップがどこの保険会社を取り扱っているか確認しておきましょう。
手堅いのは保険クリニックです。保険クリニックはこの記事で比較した11社全てと提携しています。各社の比較もかんたんにやってくれますよ。
サイト上の予約フォームに相談したい内容をざっくり入力し、予約してから訪問した方が効率的に最適なプランへたどり着けます。
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保険を検討されているのなら、まずは近所に保険クリニックがあるかを確認してみてください。 生命保険は世の中にたくさんありますが、生命保険を相談する窓口は保険クリニック一択でよいと感じます。
わかりやすく実績を確認できるのが第三者機関による顧客満足度調査。オリコン社が実施した保険ショップの顧客満足度調査にて2021年から2023年までの3年連続No.1、2023年10月に実施した株式会社DRCによるインターネット調査にて総合1位を獲得しています。
保険クリニックは契約手続きとアフターフォローにも定評があります。
保険金の不払い率をこちらにまとめていますが、不払いとなる理由の多くは
- 契約時の告知事項に不備があった。
- 契約上、保険会社に支払う責任がない。
の2点。
1点目は保険を契約する際に生命保険会社へ知らせた告知事項(過去の病歴とか現在の健康状況とか職業等)に誤りがあったケースで、これは保険ショップのスタッフが契約時にしっかり説明すれば回避できます。保険クリニックでしっかり説明を受けて契約すれば、まず該当することはないかと。
また、2点目はそもそも保険会社に保険金を支払う責任がないケースですが、医療保険やがん保険には責任分界点が微妙なグレーゾーンが存在します。微妙なグレーゾーンでキーになるのが医師が書く診断書。診断書の表現ひとつで保障されないこともあります。
そんなときに、
「こういうふうに診断書を書いてもらうと保障されやすいですよ」
といったアドバイスをできるのは保険ショップのスタッフだけです。生命保険会社のコールセンターに問い合わせても、わざわざ自分たちの不利になるアドバイスはしてくれません。
保険クリニックはアフターフォローの評価も高めです。契約後のコミュニケーションを密にしておくことで、万が一の場合には腹を割った相談がしやすくなります。こういう裏情報的なアドバイスは信頼関係がないとできないことなので。
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生命保険の相談は気軽な気持ちで。過度に重く考える必要はありません!