持病がある方や、過去に大病を経験した方でも加入できる緩和型医療保険のなないろ生命「なないろメディカルスーパーワイド」。
画期的なのは以下の2点が「いいえ」であれば加入できる点です。
①過去3か月以内に、医師・歯科医師から、入院、手術、放射線治療(電磁波温熱療法を含みます)をすすめられたことまたは説明をうけたことがありますか。
②過去1年以内に、入院をしたこと、または、手術、放射線治療(電磁波温熱療法を含みます)をうけたことがありますか。
他社の緩和型医療保険と比較すると、条件が極めてゆるいです。
例えば、オリックス生命「キュア・サポート・プラス」だと下記3点が全て「いいえ」でないと加入できません。
①過去3か月以内に、医師から、入院、手術、検査のいずれかをすすめられたことがありますか。
②過去2年以内に、病気やケガで入院をしたこと、または手術をうけたことがありますか。
③過去5年以内に、がんまたは上皮内新生物・肝硬変・統合失調症・認知症・アルコール依存症で、医師の診察・検査・治療・投薬のをうけたことがありますか。
大きな違いはオリックス生命の③の条件が、なないろ生命には無い点。②の条件も、なないろ生命は1年以内に短縮されているので、結果的には
「大きな病気で入院したり手術を受けたとしても、1年間無事にやりすごせて、過去3ヶ月の間に医師から入院、手術、放射線治療をすすめられていない」
のであれば、誰でも加入できます。
これまでの緩和型医療保険は大きな病気をすると5年、小さな病気でも入院してしまうと2年待つ必要がありましたが、それをなないろ生命が1年に短縮。通院で何かしらの治療(抗がん剤治療とか糖尿病とか)を受けている方でも、上記①②の条件を満たせば加入できます。
保険料が高いだとか、保障内容がシンプル過ぎる(必要最低限は揃ってます)といったデメリットもありますが、医療保険への加入を断られている方を救うことができる画期的な緩和型医療保険だと感じます。
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なないろ生命「なないろメディカルスーパーワイド」の保障内容を評価します。
保障内容は至ってシンプルです。
主契約で入院・手術・放射線治療を保障し、オプションで先進医療の保障有無を選ぶことができます。
【主契約】入院給付金
名称 | 給付額 | 給付条件 |
入院給付金 | 入院1日につき3,000円~10,000円から選択可能。 ※1,000円単位で選択可能。 |
入院1日につき給付 |
入院1日に対して定額給付する保障です。
1回の入院で60日まで保障。入院が長引いて90日になった場合でも、保障されるのは60日までです。
ちなみにですが、入院日数の平均は以下のとおり。
全体平均:32.3日
35歳~64歳の平均:24.4日
(参考:生命保険文化センター)
上記のリンク先を参照頂けるとわかるのですが、入院日数は意外と短いです。平均からしてみれば、入院が最長60日間まで保障されればまあ十分。
しかし、再発だったり持病のある方は入院が長引くこともあるでしょう。他社の緩和型医療保険には、最長120日間まで保障できたり、がん・心疾患・脳血管疾患といった3大疾病の入院を無制限保障するオプションがあったりしますが、なないろ生命「なないろメディカルスーパーワイド」はそんなことできません。
この点は少し残念ですが、他社の緩和型医療保険よりも加入条件がさらにゆるい超緩和型なので仕方ないとは感じます。
【主契約】医療費充当給付金(入院一時金)
特約名 | 給付額 | 給付条件 |
医療費充当給付金(入院一時金) | 入院給付金日額×所定の給付倍率。 ※なしにすることも可能。 |
入院したとき。 |
入院すれば必ず給付される一時金です(日帰り入院でも保障)。
例えば、2泊3日の入院だと
・主契約だけだと3日分の入院給付金しかもらえない。入院給付日額5,000円だと。15,000円。これだけだと、入院するのに必要な日用品購入と交通費で赤字になるかも…。
・入院一時金特約5万円を付加しておくと追加で50,000円もらえる。2泊3日の入院で入院給付金と合わせて65,000円受け取れる!
といった感じ。短期入院の保障を厚くする特約です。
手持ちの現金が少ない方には有効な保障ですが、元を取るのはけっこう大変です。
例えば、40歳男性が医療費充当給付金5万円を付加すると、月々の保険料は1,350円上がります。38ヶ月払い続けた場合の保険料総額が51,300円となるので、概ね3年に1回入院して元が取れる計算です。
抱えている持病によっては入退院を繰り返すこともあるので、一概に「保険料が高い!絶対に不要!」とは言えませんが、多くの方にとっては「なし」で良いとは感じます。
【主契約】手術給付金・放射線治療給付金
特約名 | 給付額 | 給付条件 |
手術給付金・放射線治療給付金 | 入院給付金日額×所定の給付倍率。 ※なしにすることも可能。 |
所定の手術・放射線治療を受けたとき。 |
手術を受けた際に定額給付される保障です。また、放射線治療を受けた際にも60日に1回の間隔で定額給付されます。
こちらも40歳男性が手術給付金・放射線治療給付金5万円を付加すると、月々の保険料は1,400円上がります。36ヶ月払い続けた場合の保険料総額が50,400円となるので、概ね3年に1回手術、もしくは放射線治療を受ければ元が取れる計算です。
損得で考えれば、こちらも「なし」でいいかなと感じますが、再発の可能性があるがん経験者の方は付加しておいたほうが安心でしょう。がんの3大治療は手術・放射線治療・薬物療法(抗がん剤)と言われてますが、3つのうち2つだけでも保障されれば安心感は変わります。
【重要ではありません】引受基準緩和型通院一時金特約
特約名 | 給付額 | 給付条件 |
引受基準緩和型通院一時金特約 | 3万円 | 退院後180日以内に通院したとき。 |
退院した後に1回でも通院すると一時金が給付される特約です。
入院1回につき1回だけ給付で、給付額は3万円。お小遣い程度の保障額なので、あまり意味はないかなという印象です。
【重要です】引受基準緩和型先進医療特約
特約名 | 給付額 | 給付条件 |
引受基準緩和型先進医療特約 | ・先進医療の技術料実費(上限2,000万円) ・一時金として技術料の10%(上限200万円) |
先進医療を受けた場合。 |
先進医療とは、厚生労働省が指定した公的医療保険の対象にするかを評価する段階にある治療・手術を指します。健康保険が適用されないので技術料は全額自己負担(入院費や診察費等は健康保険が適用されて3割負担)。なので、先進医療を受けると高額な医療費を請求されることもありますが、その医療費実費を2,000万円上限で保障してくれる特約です。
例えば、先進医療のひとつである重粒子線治療は放射線治療の進化版。がん細胞に対する効果が通常の放射線治療の2~3倍ほど高く、治療期間も短くすることができると言われています。
重粒子線治療はその効果が認められ、保険適用となる疾患が順次拡大されています。2016年には小児がん、2018年には前立腺がんと頭頚部がん、そして2022年4月には肝細胞がん(長径4㎝以上)・肝内胆管がん・膵がん・大腸がんの骨盤内再発・子宮がんに保険が適用されるようになりました。
しかし、それ以外のがん治療に用いる場合はまだ先進医療扱い。治療費は約300万円かかるのですが、この300万円を保障するのが先進医療特約です。
先進医療には重粒子線治療以外にも様々な治療があります。先進医療特約を付加しておけば、保険適用を待つこともなく(お金を気にせず)治療を受けることができます。保険適用を待ってる間に手遅れになってしまった!なんていう最悪の事態を避けられます。
また、一時金として先進医療給付金の10%が給付されますが、先進医療を受けられる病院は限られているため、遠方に移動することもあります(上述した重粒子線治療を受けられる病院は2023年10月時点で全国7ヶ所のみ)。一時金は交通費・宿泊費等に使うことを想定したお金です。
保障内容は他社同等です。悪くはありません。
月々200円程度で付加できますし、今後開発される新たな治療方法に備えるという意味でも、基本的には付加しておくべき特約でしょう。
なないろ生命「なないろメディカルスーパーワイド」のメリット
冒頭書いたとおり、他社の緩和型医療保険と比較しても加入条件はゆるいです。
特に他社の緩和型医療保険にはよくある
・過去5年以内にがんまたは…
という条件が無い点と、
・過去2年以内に入院または手術が…
という条件が1年に短縮された点は画期的です。
「大きな病気で入院したり手術を受けたとしても、1年間無事にやりすごせて、過去3ヶ月の間に医師から入院、手術、放射線治療をすすめられなければ、誰でも加入できる」
です。何らかの病気で現在進行形で通院治療を受けていたとしても、条件を満たせば加入できます。
世の中には「無告知型」と言って、無条件で誰でも加入できる医療保険が理論上は存在してますが、実際に販売している生命保険会社は私が知る限りではありません(少額短期保険ではあるのかもしれませんが)。現在の日本では最も加入条件がゆるい医療保険だと感じます。
これまで加入することができなかった方々に門を開いたという意味では、とても意義のある医療保険だと感じます。
なないろ生命「なないろメディカルスーパーワイド」のデメリット
保険料は高めです。
40歳を例に他社の緩和型医療保険と比較してみます。比較対象は緩和型医療保険のなかでも知名度の高いメディケア生命「新メディフィットRe」、及びオリックス生命「キュア・サポート・プラス」。保障条件は極力合わせてますが、微妙に異なるところもあるのでご参考程度に。
なないろ生命 | メディケア生命 | オリックス生命 | |
保障内容 | 入院1日5,000円 手術・放射線5万円 先進医療特約あり |
入院1日5,000円 手術入院5万円外来2.5万円 放射線5万円 先進医療特約あり |
入院1日5,000円 手術入院5万円外来2.5万円 放射線5万円 先進医療特約あり |
40歳男性 | 4,505円 | 2,370円 | 3,135円 |
40歳女性 | 3,894円 | 2,400円 | 2,800円 |
なないろ生命が際立って高くなってます。
これは加入条件が2社よりもゆるいことが要因です。メディケア生命とオリックス生命は上述した「過去5年以内にがんまたは…」「過去2年以内に入院または手術が…」という条件があり、加入できるハードルはなないろ生命よりも高め。この点はやむなしでしょう。
また、オプションの種類が他社と比較してシンプルです。上表で比較したメディケア生命・オリックス生命には、
- がん・心疾患・脳血管疾患の入院を無制限保障するオプション。
- がん・心疾患・脳血管疾患で所定の条件を満たした場合は50万円の一時金が給付されるオプション(オリックス生命はがん・急性心筋梗塞・脳卒中)。
がありますが、なないろ生命にはそんなものありません。
ということで、上述した「過去5年以内にがんまたは…」「過去2年以内に入院または手術が…」という条件を既に満たしている場合には、なないろ生命は選択肢に入りません。他社の緩和型医療保険を選んだほうがよいでしょう。
なないろ生命「なないろメディカルスーパーワイド」の評価
評価:A(S、A~Cで判定)
加入条件のゆるさは他社を圧倒しています。大病を経験された方にとって大きなハードルとなっていた
・過去5年以内に…。
という条件が撤廃されている点と、
・過去2年以内に入院または手術が…
という条件が1年に短縮された点は画期的。加入を断られ続けてきた方々に門を開いた非常に意義のある医療保険です。
また、入院・手術・先進医療が保障されるので、医療保険として最低限の機能は備えています。
「誰でも加入できるのはいいけど、保障内容が薄くて使い物にならない!」
といった医療保険ではありません。
よって評価は「A」としました。
ただし、加入条件がゆるいがために保険料は高め。そして最低限の機能は備えているものの、選べるオプションの種類は多くありません。
「過去5年以内にがんまたは…」「過去2年以内に入院または手術が…」といった条件を満たしていて、他社の緩和型医療保険に加入できる場合は、なないろ生命は選択肢に入りません。緩和型医療保険は下記で比較してますので、こちらもご参考に。
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なないろ生命「なないろメディカルスーパーワイド」は全国の保険ショップで取り扱ってます。ご近所の保険ショップでも取り扱っているはず。
しかし、いざ保険ショップに行ってみて、
「あー、すいません、うち、なないろ生命やってないんですよ」
なんて言われたら立ち直れないですよね。そんなことにならないためにも、事前に最寄の保険ショップがなないろ生命を取り扱っているか確認しておきましょう。
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の2点。
1点目は保険を契約する際に生命保険会社へ知らせた告知事項(過去の病歴とか現在の健康状況とか職業等)に誤りがあったケースで、これは保険ショップのスタッフが契約時にしっかり説明すれば回避できます。保険クリニックでしっかり説明を受けて契約すれば、まず該当することはないかと。
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まとめ
公式サイト:なないろ生命「なないろメディカルスーパーワイド」
現在発売されている緩和型医療保険のなかでは、最も加入条件がゆるいと言っていいでしょう。世の中には「無告知型」といわれる本当に誰でも入れる医療保険もありますが、現在発売している保険会社は私が知る限りではありません。
医療保険の加入を断られまくってる方にとって、最後の希望がなないろ生命です。
一方で、保険料は高め。オプションの種類も多くはありません。
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※2022年8月更新