ネットから申し込める医療保険は保険料が安いイメージありますが、ライフネット生命「じぶんへの保険3」はそこまで安くはないかなぁという印象です。少なくとも、業界最安値クラスではありません。
また、契約者に選択の自由はほぼなし。選べるのは、おすすめコースとエコノミーコースの2パターンのみ。
保障内容の観点からも、保険料の観点からも、他社の医療保険と比較しておいて損はないかと。
医療保険の選び方のポイントは↓のリンク先に書いています。
リンク先の内容を要約すると、選び方で大切なのは以下の4点です。
まずはざっと概要を書いておきます。上記4点について、ライフネット生命「じぶんへの保険3」の概要と評価は以下のとおりです。
項目 | 内容 | 評価 |
入院保障 | 3大生活習慣病(がん・心疾患・脳血管疾患)の入院を無制限保障(おすすめコース) | A |
通院保障(がん) | なし | C |
三大疾病一時金 | 【対象となる疾病・給付条件】 がん:1回目診断確定、2回目以降治療 【給付間隔・上限】 1年に1回、上限5回まで。 |
B |
先進医療保障 | 通算2,000万円上限・終身型 | A |
30歳の月額保険料 (入院給付金1万円、保険料支払期間終身) |
男性:3,156円 女性:3,403円 |
B |
40歳の月額保険料 (入院給付金1万円、保険料支払期間終身) |
男性:4,243円 女性:4,069円 |
おすすめコースであれば3大疾病の入院保障が無制限になります。この点は問題ありません。
一方で通院保障はありません。他社のように通院1日5千円!といった特約もありませんし、抗がん剤治療を受けた月に10万円給付といった特約もありません。
三大疾病一時金の保障対象もがんのみ。他社だと心疾患・脳血管疾患も保障対象に加わるのですが、ライフネット生命「じぶんへの保険3」の保障対象はがんのみに限定されます。さらに、エコノミーコースだと一時金保障はありません。
先進医療保障は問題ないです。充実していますが、先進医療保障もエコノミーコースだと付加されません。全般的にエコノミーコースは保障内容に不安が残ります。
保険料も決して安くありません。他社の医療保険との比較は必須と感じます(この後比較していきます)。
まとめると、ちょっと微妙です…。
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ライフネット生命「じぶんへの保険3」の基本情報
まずは基本情報を一覧にしました。他の医療保険と比較する際の手掛かりにどうぞ。
保険の種類 | 【医療保険】 ・病気やケガに備える保険です。 ・貯蓄性はありません。支払った保険料は掛け捨てです。 ・保険料が値上がりすることはありません。 |
エコノミーコース | ・入院給付金 ・手術給付金 ・女性入院給付金(じぶんへの保険3レディースだと保障) |
おすすめコース | ・入院給付金 ・手術給付金 ・女性入院給付金(じぶんへの保険3レディースだと保障) ・先進医療給付金 ・がん治療給付金 |
保険料を支払う期間 | 60歳まで、65歳まで、終身(一生涯)から選択可能。 |
保険料を支払う回数 | 月払 |
保険料を支払う方法 | ・口座振替 ・クレジットカード払 |
保障される期間 | 終身 |
加入方法 | 対面・郵送・ネット |
健康相談サービス | あり(健康サポート24が利用可能) |
ライフネット生命「じぶんへの保険3」の保障内容を評価します。
冒頭のところで入院保障・通院保障(がん)・三大疾病一時金・先進医療保障について書きましたが、その他の特約(オプション)を含め、もう少し詳しく見ていきます。
入院給付金
入院保障はエコノミーコース・おすすめコースの両方にあります。
名称 | 給付額 | 給付条件 |
入院給付金 | 入院1日につき5,000円、8,000円、10,000円、12,000円、15,000円から選択可能。 | 入院1日につき給付 |
入院保障は「入院給付金×入院日数」が保障されるのですが、5日未満の短期入院でも最低5日間分の入院給付金を受け取れます。
後述しますが最近は入院が短期化しています。なので、この点はメリットとも考えられますが、短期入院の保障が手厚い医療保険は保険料が高くなりがち。これがあるために、ライフネット生命「じぶんへの保険3」は他社と比較して保険料が高めに見えます。
短期入院は貯蓄で備えて、発生したら貯蓄でカバーするのが難しい長期入院を民間の医療保険で備えるのがコスパのよい医療保険の入り方です。入院1日あたりの平均費用は2.1万円というデータがありますが、それなりに貯蓄があれば5日間分の入院保障は過剰とも言えます(過剰保障は保険料のムダ)。
また、入院1回に対する入院日数の保障上限は60日間です。入院が60日を超えると入院保障は途切れます。
入院日数の平均は以下のとおり。
全体平均:32.3日
35歳~64歳の平均:24.4日
(参考:生命保険文化センター)
これだけ見ると保障上限60日間で十分に思えますが、あくまでもこれは平均。脳血管疾患は平均からしても入院が長引きますし、がんも部位や症状によっては入院が長引きます。
ということで、おすすめコースは3大疾病入院給付金無制限が付加され、3大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)の入院が日数無制限で保障されます。医療保険の役割が万が一の壊滅的な状況を救うことにあると考えれば、3大疾病の入院日数の無制限保障は重要です。
3大疾病入院給付金無制限が付加されないエコノミーコースだと、入院が長引きやすい脳血管疾患やがんも入院60日が過ぎれば保障はプスッと途切れます。エコノミーコースは保障内容に不安が残ります。
手術給付金
手術保障もエコノミーコース・おすすめコースの両方にあります。
名称 | 給付額 | 給付条件 |
手術給付金 | 入院中:入院給付金の10倍 外来:入院給付金の5倍 |
所定の手術を受けたとき。 |
骨髄幹細胞の採取術 | 入院給付金の10倍 | 骨髄幹細胞の採取術を受けたとき。 |
以前は外来手術が保障対象外だったのですが、ライフネット生命「じぶんへの保険3」にリニューアルされてから保障されるようになりました。
これで他社の手術給付金と同レベルの保障です。悪くはありません。
先進医療給付金・先進医療見舞給付金
名称 | 給付額 | 給付条件 |
先進医療給付金 | 保障期間通算で2,000万円までの技術料。 | 先進医療を受けた場合。 |
先進医療見舞給付金 | 1回につき10万円 |
先進医療とは、公的医療保険の対象にするかを評価する段階にある治療・手術を指します。健康保険が適用されないので技術料は全額自己負担(入院費や診察費等は健康保険が適用されて3割負担)。なので、先進医療を受けると高額な医療費を請求されることもありますが、その技術料実費を2,000万円上限で保障してくれるのが先進医療特約です。
先進医療給付金の保障額上限2,000万円は他社と同水準です。悪くありません。
また、先進医療を受けられる病院は限られているため、遠方に移動することもあります。交通費・宿泊費等が必要になるケースも多く、先進医療見舞給付金はそのための費用ですね。10万円は他社同等であり、こちらも悪くないです。
ちなみにですが、先進医療保障はエコノミーコースだと対象外。この点もエコノミーコースの弱さを感じさせます。
がん治療給付金
名称 | 給付額 | 給付条件 |
がん治療給付金 | 入金給付金の100倍 | 1回目:診断されたとき 2回目以降:1年経過後に治療を受けたとき |
がんで所定の条件を満たした場合に、1年に1回の間隔でまとまった金額の一時金がドバっと給付される特約です。一撃100万円とかが銀行口座に振り込まれるので、
「医療保険…、入っておいてよかった…」
と実感できるのがこちらの特約。
他社と比較した良い点と悪い点は以下のとおり。
- 【GOOD】給付間隔が1年に1回。
- 【GOOD】2回目以降の給付条件が「治療」。通院でも給付される。
- 【BAD】上皮内がんが保障対象外。
- 【BAD】回数制限あり。上限5回まで。
- 【BAD】心疾患・脳血管疾患が保障範囲外。
給付間隔・給付条件は良いです。
がんの治療さえ受けていれば1年に1回一時金が給付されるというのは安心です。他社は2年に1回の場合もありますし、2回目以降の給付条件が「入院」となっていて、通院治療のみでは保障されないこともあります。
ライフネット生命は
「入院でも通院でも、がんの治療を受けていれば1年に1回お支払いします!」
です。この点はメリットでしょう。
しかし、上皮内がんは保障対象外。
上皮内がんとはがん細胞がリンパ管や血管に達していない初期のがんで、サッと手術で切り取ってしまえば再発や転移する可能性は低いと言われてます。
「早めに見つかって良かったですね」
と言われるのが上皮内がん。大腸がんだと2割、子宮頸がんだと半数以上が上皮内がんで発見されたというデータもあります。上皮内がんは珍しいがんではありません。
まあ上皮内がんはサクッと切って治療終了が多いので、治療費もそんなにかからないのですが、乳がんは上皮内がんでも通常のがんと同様の治療が必要となることもあります。女性にとってこの点は要注意。他社の医療保険は上皮内がんも通常のがんと同じ扱いとすることが大半です。
それと、給付回数に上限がある点も気になります。上限は5回まで。
一生涯で5回の一時金給付を受ける可能性は高くありませんが、それでもがんの闘病が5年以上に渡ることもなくはないです。一度は治療が終了しても、その後に再発を繰り返して通算の闘病期間が5年以上に渡ることもあるでしょう。最近の医療保険は回数無制限がスタンダードであることを考えると、この点もデメリットです。
また、保障範囲に心疾患・脳血管疾患が含まれていません。一般的な医療保険は一時金の保障範囲を「がん・心疾患・脳血管疾患」とすることが多いのですが、ライフネット生命「じぶんへの保険3」はがんに限定されています。繰り返しますが、脳血管疾患は入院が長引きますし、働けない期間も長期に及びます。この点も不安要素です。
ちなみにですが、がん治療給付金もエコノミーコースだと保障対象外です。
僕がライフネット生命「じぶんへの保険3」に入るなら。
エコノミーコースは保障内容が弱すぎます。入院の延長保障も先進医療保障もありません。一時金保障もありません。選択肢には入り得ないかと。
選択肢になり得るのがおすすめコースですが、おすすめコースは保険料がやや高め。
保障内容を極力合わせて業界最安値クラスのメディケア生命「新メディフィットA」と月々の保険料を比較してみます。
ライフネット生命 「じぶんへの保険3」 |
メディケア生命 「新メディフィットA」 |
|
保障内容 | 入院:1日5,000円(60日間保障) 手術:入院5万円、通院2.5万円 がん治療給付金50万円 先進医療特約 3大疾病入院無制限保障 入院給付金5日分保障 ※おすすめコース |
入院:1日5,000円(60日間保障) 手術:入院5万円、通院2.5万円 がん診断特約Ⅱ型50万円 先進医療・患者申出療養特約 3大疾病入院無制限保障 |
30歳男性 | 3,079円 | 2,195円 |
30歳女性 | 3,127円 | 2,320円 |
40歳男性 | 4,324円 | 3,150円 |
40歳女性 | 3,974円 | 2,785円 |
メディケア生命の方がかなり安くなってます。保険料差の大きな要因はライフネット生命の最低5日分入院保障にあると推測できますが、それにしてもけっこうな差があるように感じます。
ちなみに、一時金保障はメディケア生命の方が手厚いです。
- メディケア生命は上皮内がんも保障対象。ライフネット生命は上皮内がんが保障対象外。
- メディケア生命は回数無制限保障。ライフネット生命は上限5回。
ライフネット生命を選ぶポイントが見当たらないというのが正直なところ…。
ライフネット生命「じぶんへの保険3」のメリット
上述のとおり、がん治療給付金の給付条件は良いです。2回目以降も入院もしくは通院で治療を受けていれば給付される点はメリット。他社の医療保険だと入院での治療に限定され、通院治療は保障対象外となることがあります。
また、日帰り入院を含む5日未満の短期入院でも5日分の入院給付金を受け取れる点もメリットでしょう。短期入院であっても医療費の他に日用品や交通費等にそれなりのお金がかかります。手持ちの現金が少ない方にとっては安心の保障内容ですね。
ただし、先ほど比較したとおりデフォルトで短期入院を手厚く保障するタイプの医療保険は保険料が高くなる傾向にあります。貯金の切り崩しで短期入院を乗り切れる方にとってはデメリットです。
ライフネット生命「じぶんへの保険3」のデメリット
先述のとおり保険料は高めです(おすすめコース)。
短期入院でも5日分の入院給付金を保障する点がその要因ですが、それでも高いかなと。医療保険の保険料は下記リンクで比較しているので、こちらもご参考に。
また、エコノミーコースは保障が弱いです。特に先進医療特約が含まれていない点はなかなか厳しい。他社だと先進医療特約を月100円程度の保険料で付加できます。月100円程度なので十分「エコノミー」なんですけどね。
それと、メリットに書いたとおり、がん治療給付金の給付条件は良いのですが、上皮内がんが保障されない点は要注意でしょう。最近の医療保険は上皮内がんも保障されるのが標準です。
最後に、心疾患・脳血管疾患の一時金はありません。一般的な医療保険だと一時金の保障範囲は「がん・心疾患・脳血管疾患」です。心疾患・脳血管疾患の保障を厚くしておきたい方も、他社の医療保険との比較は必須です。
ライフネット生命「じぶんへの保険3」の評価
評価:C(S、A~Cで判定)
エコノミーコースは保障が弱く、おすすめコースでも
- がん治療給付金の保障対象に上皮内がんが含まれていない。
- 一時金保障の保障対象ががんのみ。心疾患・脳血管疾患が保障範囲に含まれない。
といった注意点があります。それでいて、保険料は高め。
がん治療給付金の2回目以降の給付条件が「治療」である点はメリットですが、それでもデメリット要素強めかなというのが正直な感想です。評価は「C」としました。
比較対象として以下の医療保険を挙げておきます。
●チューリッヒ生命「終身医療保険プレミアムZ」
保険料が激安。自由診療の抗がん剤治療を保障対象にできたり、女性特有の疾病に対する保障を厚くできたりで、保障内容も良好です。
●メディケア生命「新メディフィットA」
こちらも保障内容に大きな欠点は見当たらず。保険料も高くはなく、現在の医療保険のスタンダードです。
医療保険の保険料は下記リンクで比較しているので、ご参考までに。本サイトでおすすめしている保障内容を中心に比較しています。
ライフネット生命「じぶんへの保険3」に申し込むなら。
ライフネット生命「じぶんへの保険3」はライフネット生命の公式サイトから申し込み可能です。
公式サイト:ライフネット生命「じぶんへの保険3」
しかし、上述のとおり他社の医療保険と比較しておいて損はないです。
手堅いのは保険クリニックです。保険クリニックなら比較対象としたチューリッヒ生命・メディケア生命と提携しています(ライフネット生命とは未提携)。各社の比較もかんたんにやってくれます。
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わかりやすく実績を確認できるのが第三者機関による顧客満足度調査。オリコン社が実施した保険ショップの顧客満足度調査にて2021年から2023年までの3年連続No.1、2023年10月に実施した株式会社DRCによるインターネット調査にて総合1位を獲得しています。
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保険金の不払い率をこちらにまとめていますが、不払いとなる理由の多くは
- 契約時の告知事項に不備があった。
- 契約上、保険会社に支払う責任がない。
の2点。
1点目は保険を契約する際に生命保険会社へ知らせた告知事項(過去の病歴とか現在の健康状況とか職業等)に誤りがあったケースで、これは保険ショップのスタッフが契約時にしっかり説明すれば回避できます。保険クリニックでしっかり説明を受けて契約すれば、まず該当することはないかと。
また、2点目はそもそも保険会社に保険金を支払う責任がないケースですが、医療保険やがん保険には責任分界点が微妙なグレーゾーンが存在します。微妙なグレーゾーンでキーになるのが医師が書く診断書。診断書の表現ひとつで保障されないこともあります。
そんなときに、
「こういうふうに診断書を書いてもらうと保障されやすいですよ」
といったアドバイスをできるのは保険ショップのスタッフだけです。生命保険会社のコールセンターに問い合わせても、わざわざ自分たちの不利になるアドバイスはしてくれません。
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まとめ
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がん治療給付金の給付条件はかなり良いと感じますが(2回目以降も治療を受けていれば給付)、それ以外に目立ったメリットが見つからず…。
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※2022年8月更新