【評価A】ソニー生命「リビング・ベネフィット20(米ドル建生前給付終身保険)」デメリットと評価

ソニー生命には「米ドル建終身保険」というシンプルな外貨建て終身保険があるのですが、その米ドル建終身保険に

  • 三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)
  • 障害
  • 介護

の保障が追加されたのが「リビング・ベネフィット20(米ドル建生前給付終身保険)」。三大疾病・障害・介護で所定の条件を満たした場合は死亡保険金と同額を受け取れます。

他社にも同様に三大疾病の保障を追加できる外貨建て終身保険があるのですが、障害・介護も保障されるのは珍しい。この点はソニー生命のメリットでしょう。

一方で、解約返戻金の返戻率(利率みたいなもの)はやや低いかなと感じます。老後の生活資金を貯める目的も見据えるのであれば、他社の外貨建て終身保険も検討した方がよいかなと。

ソニー生命「リビング・ベネフィット20(米ドル建生前給付終身保険)」ここがポイント
  • 死亡保障のある終身保険です。死亡保障は一生涯続きます。
  • 外貨建て終身保険です。為替レートの影響をモロに受けます。
  • 死亡保障に加えて三大疾病・障害・介護も保障されます。

終身保険は当たりハズレの大きい保険です。

というのも、解約返戻金の返戻率(支払った保険料に対して解約時に戻ってくるお金の割合)に各社大きな差があります。支払った保険料に+αの利息が上乗せされるお得な終身保険もあれば、大きく元本割れしてしまう終身保険もあります。元本割れしてしまう終身保険は選びたくないですよね。

終身保険の選び方のポイントは↓のリンク先に書いています。

終身保険の選び方

リンク先の内容を要約すると、終身保険を選ぶ際に大切なのは以下の2点です。

  1. 月々の保険料。保険金額と保険料を支払う期間(満期)を決めて、生命保険各社の保険料を比較する。同条件でも生命保険会社の経営努力によって保険料はピンキリ。
  2. 解約返戻金の返戻率。解約返戻金の返戻率も各社バラバラ。より高い返戻率である終身保険を選ぶ。

まずはざっと概要を書いておきます。上の2点について、ソニー生命「リビング・ベネフィット20(米ドル建生前給付終身保険)」の概要と評価は以下のとおりです。

項目 内容 評価
35歳の月額保険料
(保険金額100,000米ドル、保険料払込期間60歳まで)
男性:247.80米ドル
女性:241.90米ドル
A
解約返戻金の返戻率 満期を迎えた時:94.6%
(35歳男性・保険金額10万米ドル・保険料払込期間60歳まで)
C

冒頭書いたとおり、保険料は高くありません。外貨建て終身保険は開示されている情報が少ないので同条件での比較は難しいのですが、最安値クラスのジブラルタ生命「米国ドル建終身保険(低解約返戻金型)」と良い勝負になるかと。

一方で、解約返戻金の返戻率は低め。上表のケースだと満期直後の返戻率は100%を下回ります。支払った保険料より少ない解約返戻金しか受け取れません。

ということで、保険料が安いので死亡保障+三大疾病保障を重視するなら候補に入る外貨建て終身保険です。貯蓄性まで求めるのであれば、他社と比較しておいて損はないでしょう。

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ソニー生命「リビング・ベネフィット20(米ドル建生前給付終身保険)」のメリット

ソニー生命「リビング・ベネフィット20(米ドル建生前給付終身保険)」ここがポイント!
  • 【check】為替手数料が安い。
  • 【check】障害・介護も保障される(その割に保険料が安い)。

為替手数料が安い。

外貨建て終身保険は円を外貨に変換して保険料を支払い、外貨を円に変換して死亡保険金・解約返戻金を受け取るのですが、その際に発生するのが為替手数料。

為替手数料は生命保険会社によって変わります。現在の外貨建て終身保険はメットライフ生命「USドル建て終身保険ドルスマートS」と、ジブラルタ生命「米国ドル建終身保険」の2強なのですが、この2社と為替手数料を比較してみます。

円→ドル(保険料を支払う) ドル→円(死亡保険金・解約返戻金を受け取る)
メットライフ生命 0.5円 0.5円
ジブラルタ生命 0.5円 0.01円
ソニー生命 0.01円 0.01円

ソニー生命は「円→ドル」が2社よりも安い0.01円。

例えば、月200ドルの保険料を毎月支払うのなら、

メットライフ生命・ジブラルタ生命:200ドル×0.5円=100円
ソニー生命:200ドル×0.01円=2円

の手数料がかかるので、ソニー生命の方が98円安くおさまります。月々だと少額ですが、これが数十年続けばけっこうな差になります。

また、ソニー生命は「円→ドル」はメットライフ生命より安い0.01円。

例えば、100,000米ドルの死亡保険金を受け取る場合には

メットライフ生命:100,000ドル×0.5円=50,000円差し引かれる。
ジブラルタ生命・ソニー生命:100,000ドル×0.01円=1,000円差し引かれる。

ということで、49,000円の差があります。わずか数%の返戻率を争う中で、この差は無視できません。この点はメリットでしょう。

障害・介護も保障される(その割に保険料が安い)。

↑で比較したメットライフ生命「USドル建て終身保険ドルスマートS」と、ジブラルタ生命「米国ドル建終身保険」もオプションを追加すれば亡くなった場合以外も保障されます。

3社の具体的な保障条件を比較してみます。

ソニー生命 ジブラルタ生命 メットライフ生命
がん 初めてがんと診断されたとき。 初めてがんと診断されたとき。 初めてがんと診断されたとき。
心疾患 60日以上の労働制限、または所定の手術を受けたとき。
※保障範囲は急性心筋梗塞のみ。
60日以上の労働制限、または所定の手術を受けたとき。
※保障範囲は急性心筋梗塞のみ。
20日以上入院、または所定の手術を受けたとき。
脳血管疾患 60日以上の神経学的後遺症継続、または所定の手術を受けたとき。
※保障範囲は脳卒中のみ。
60日以上の神経学的後遺症継続、または所定の手術を受けたとき。
※保障範囲は脳卒中のみ。
20日以上入院、または所定の手術を受けたとき。
障害 障害等級1級~3級
介護 要介護2以上(65歳未満は所定の条件) 要介護2以上、または所定の条件

がんの保障条件は3社同じ。

「あなたはがんです」

と医師に診断されれば保障されます。

心疾患・脳血管疾患には違いがあります。ソニー生命とジブラルタ生命は同じですが、メットライフ生命は

  • 心疾患・脳血管疾患をまるごと保障対象(保障範囲が広い)。
  • 20日以上の入院or手術が条件(保障条件が良い)。

といった点で2社よりも有利。

ソニー生命・ジブラルタ生命が保障する急性心筋梗塞は心疾患の一部です。保障対象が急性心筋梗塞に限定されると、急性心筋梗塞以外の心疾患が保障対象外になります(狭心症とか)。平成29年の厚生労働省の調査によると心疾患全体の患者数1,732千人のうち、急性心筋梗塞の患者数は47千人。割合にすると2.7%に過ぎません。心疾患と急性心筋梗塞には割と大きな違いがあります。

また、脳卒中も脳血管疾患の一部ですが、脳卒中には

  • 脳梗塞
  • くも膜下出血
  • 脳出血

が含まれます。平成29年の厚生労働省の調査によると脳血管疾患の患者数1,115千人のうち、脳梗塞・くも膜下出血・脳出血の患者数合計は973千人。割合にすると87.2%です。

ということで、脳血管疾患でも脳卒中でも大きな差はありませんが、脳血管疾患の方がちょっと安心かな、とは感じます。

また、保障条件もメットライフ生命が良いです。

心疾患の条件はメットライフ生命が20日入院なのに対し、ソニー生命・ジブラルタ生命は60日以上の労働制限。心疾患で20日以上入院することも多くはありませんが、60日以上の労働制限はさらに可能性は低くなります。3社全て手術が条件に含まれるので、重症の場合は保障されるとは感じますが、それでもメットライフ生命の方が条件は緩いでしょう。

脳血管疾患も条件が緩いのもメットライフ生命。脳血管疾患は入院(後遺症)が長引くので、20日以上入院でも60日以上後遺症継続でも条件を満たす可能性は高いと感じますが、それでも20日以上の入院で保障されるメットライフ生命の方が条件は緩いと言っていいかと。

一方で、障害が保障されるのはソニー生命のみ。障害等級3級以上が条件ですが、障害等級3級は片足なくなっちゃった!レベルの身体障害なので、働くことはできなくないけど、元のように働くのは難しい状態が保障されます。この点はソニー生命独自のメリット。

また、介護が保障されるのはソニー生命とメットライフ生命です。条件はどちらも要介護2以上なので同じ。要介護2以上の他にもごちゃごちゃした条件がありますが、どちらも要介護認定を受けることが制度上難しい65歳未満を救うための条件です。条件はほぼ同等と言っていいでしょう。

ちなみにですが、保険料はソニー生命とジブラルタ生命が最安値を競ってます。例えば、30歳男性が保険金額10万米ドル・保険料払込期間60歳までを条件に契約した場合の月々の保険料は

ソニー生命:195.90米ドル
ジブラルタ生命:195.30米ドル

ということでほぼ同じ。保険料がほぼ同じなら、障害・介護が保障されるソニー生命の方が良いかなと。

メットライフ生命は同条件での比較が難しいのですが(開示されている情報が少ない)、そもそもの保険料が高く、心疾患・脳血管疾患の保障条件も良いので、ソニー生命・ジブラルタ生命よりも高くなることが多いかなと。生活習慣が乱れがちで心疾患・脳血管疾患が気になるのならメットライフ生命が有力ですが、そうでなければ保険料が安いソニー生命が有力と感じます。

ソニー生命「リビング・ベネフィット20(米ドル建生前給付終身保険)」のデメリット

ソニー生命「リビング・ベネフィット20(米ドル建生前給付終身保険)」 ここにご注意!
  • 【check】為替の影響をモロに受ける。
  • 【check】心疾患・脳血管疾患の保障条件はやや弱い。
  • 【check】解約返戻金の返戻率がやや低め?

為替の影響をモロに受ける。

この点はソニー生命「リビング・ベネフィット20(米ドル建生前給付終身保険)」 のデメリットというよりも、外貨建て終身保険のデメリット。

外貨建て終身保険は支払う保険料も受け取る死亡保険金・解約返戻金も全て外貨建て。日本円を外貨に変換して保険料を支払い、外貨で受け取った死亡保険金・解約返戻金を円に変換する必要があります。

ということで、厄介なのが為替リスク。具体的には

  • 円安となった場合に、円換算の保険料がドンっと上がる。
  • 円高となった場合に、円換算の死亡保険金がドンっと下がる。

の2点です。

例えば、保険料が月200ドルで1ドル100円であれば、円換算の保険料は2万円(200ドル×100円)。しかし、円安が進んで1ドル150円となれば円換算の保険料は3万円(200ドル×150円)に上がります。

毎月2万円で済んでいた保険料が、3万円に上がるのはけっこう辛い…。

また、100,000ドルの保険金額で契約し、被保険者が亡くなったときに1ドル150円であれば1,500万円(100,000ドル×150円)を受け取れますが、1ドル100円であれば1,000万円(100,000ドル×100円)にしかなりません。万が一のことが発生し、急遽現金が必要になったのに運悪く超円高だった場合は必要なお金を確保できない可能性もあります。

外貨建て終身保険を契約する際には、この2点に要注意です。月々の保険料は余裕をもって支払える金額に抑えておいたほうが無難です。

クレカ払いできない。

※2024年10月に改定があり、保険料をクレジットカードで支払うことが可能となりました。本デメリットは解消済みです。

保険料をクレジットカードで支払うことができません。主な保険料支払い方法は口座振替です。

終身保険の保険料は高いです。クレジットカードで保険料を支払えば、それなりのポイント還元を受けられます。この点は地味にデメリットでしょう。

ちなみにですが、メリットで比較したメットライフ生命「USドル建て終身保険ドルスマートS」はクレジットカードでの保険料支払いが可能です(ただしJCBのみ)。ポイント還元の恩恵を受けられます。

心疾患・脳血管疾患の保障条件はやや弱い。

メリットで比較したとおり、メットライフ生命「USドル建て終身保険ドルスマートS」と比較すると、心疾患・脳血管疾患の保障条件はやや弱め。

具体的には

  • 心疾患・脳血管疾患をまるごと保障対象(保障範囲が広い)。
  • 20日以上の入院or手術が条件(保障条件が良い)。

といった点でメットライフ生命の方が保障されやすいです。心疾患・脳血管疾患が気になる方は、メットライフ生命の方が安心です。

解約返戻金の返戻率がやや低め?

終身保険には貯蓄性があります。

というのも、解約するとそれまで積み立てた保険料が解約返戻金として戻ってきます。そしてその解約返戻金の良し悪しを計る指標が、先ほどから登場している返戻率。

解約返戻金の返戻率とは、支払った保険料総額に対して、解約した時に戻ってくる解約返戻金の割合です。100%を超えれば、支払った保険料よりも多くの解約返戻金が戻ってくることになります(100%を下回れば元本割れ)。

同条件での比較が難しいのですが、ソニー生命「リビング・ベネフィット20(米ドル建生前給付終身保険)」は解約返戻金の返戻率がやや低いかなという印象です。

例えば、30歳男性がジブラルタ生命「米国ドル建終身保険」を保険金額10万米ドル・保険料払込期間60歳までで契約。このときの満期直後(60歳時点)の返戻率が105.7%なので、60歳時点で解約しても支払った保険料より多くの解約返戻金を受け取れます。

一方で、35歳男性がソニー生命「リビング・ベネフィット20(米ドル建生前給付終身保険)」を保険金額10万米ドル・保険料払込期間60歳までで契約。このときの満期直後(60歳時点)の返戻率が94.6%なので、60歳時点で解約すると元本割れ。65歳まで解約しないで寝かせておけば、101.1%まで上がりますが、それでもジブラルタ生命より低い返戻率です。

まあスタートに差がある(ジブラルタ生命は30歳男性、ソニー生命は35歳男性)ので厳密に同条件での比較ではありませんが、返戻率はジブラルタ生命の方が高くなるかなと。

ちなみにですが、ジブラルタ生命よりも高くなる可能性があるのがメットライフ生命です。老後の生活資金を貯める目的も兼ねるのであれば、ジブラルタ生命・メットライフ生命の方が有力かなと感じます。

ソニー生命「リビング・ベネフィット20(米ドル建生前給付終身保険)」の評価

評価:A(S、A~C)

保険料は決して高くありません。死亡+三大疾病を保障するタイプの外貨建て終身保険のなかでは最安値クラス。さらに障害・介護も保障される点もメリットでしょう。

解約返戻金の返戻率は高くないので、老後の生活資金を貯める目的も兼ねるのであればメットライフ生命「USドル建て終身保険ドルスマートS」、もしくはジブラルタ生命「米国ドル建終身保険」が有利とは思いますが、死亡保障+三大疾病に備える目的で使うのなら十分アリです。

よって評価は「A」としました。

ちなみに、2023年5月に発売されたオリックス生命「米ドル建終身保険ブライト」も同じく死亡+三大疾病・障害・介護を保障する外貨建て終身保険なのですが、こちらは保険料が激安。こちらも合わせてご検討を。

ソニー生命「リビング・ベネフィット20(米ドル建生前給付終身保険)」の相談をするなら。

ソニー生命「リビング・ベネフィット20(米ドル建生前給付終身保険)」は全国の保険ショップで取り扱っています。

しかし、ふらっと入った保険ショップで

「うちはソニー生命と提携してないですよ」

なんて言われたら悲しいですよね。そんなことがないように事前に調べておきましょう。

手堅いのは保険クリニックです。保険クリニックならソニー生命はもちろんのこと、比較対象に挙げたジブラルタ生命・メットライフ生命・オリックス生命とも提携しています。

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  1. 契約時の告知事項に不備があった。
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1点目は保険を契約する際に生命保険会社へ知らせた告知事項(過去の病歴とか現在の健康状況とか職業等)に誤りがあったケースで、終身保険にはこれが稀にあります。

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まとめ

公式サイト:ソニー生命「リビング・ベネフィット20(米ドル建生前給付終身保険)」

比較的安い保険料で亡くなった場合+三大疾病に備えられる外貨建て終身保険です。

実際に陥る可能性は低いのですが、陥ったら地獄の障害・介護に備えられる点もメリットでしょう。死亡+三大疾病の保障を重視するのなら、ジブラルタ生命「米国ドル建終身保険」に並ぶ有力な候補になるかと。保険料の観点ならオリックス生命「米ドル建終身保険ブライト」も候補に入ります。

ただし、解約返戻金の返戻率は低め。老後の生活資金を貯める目的も兼ねるなら、メットライフ生命「USドル建て終身保険ドルスマートS」と比較しておいて損はありません。

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※2024年10月更新 保険料がクレカ払い可能となったことを反映。

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