全般的にはふつうの外貨建て終身保険なのですが、特徴的なのが低解約返戻金型ではない点。終身保険には低解約返戻金型というタイプがあり、低解約返戻金型には
- 満期前に解約すると、解約返戻金が支払った保険料の7割程度にしかならない。
- その代わりに月々の保険料が安い。
- 満期後に解約返戻金がドンっと増える。
といった特徴があります。
途中で解約すると大損なので満期を迎えるまで続ける覚悟が必要ですが、その代わりに保険料が安くて、満期を迎えれば解約返戻金がドンっと上がる(老後の生活費目的にも使える)のが低解約返戻金型。現在の主流は低解約返戻金型です。
他社の外貨建て終身保険は低解約返戻金型と通常型の2タイプから選べることが多いです。ソニー生命は通常型しか選べないので、他社の低解約返戻金型と比較すると保険料が高くて解約返戻金が低くなる傾向にあります。
一方で、通常型は満期前に解約してもそれなりの解約返戻金を受け取れます。
「途中で解約しちゃうかもしれない…」
という方にとってはメリットですが、それでも満期前に解約して支払った保険料より多くの解約返戻金を受け取れるケースは少ないかと。外貨建て終身保険を老後の生活資金を貯めるといった目的にも使いたい場合は、他社の低解約返戻金型と比較しておいて損はないでしょう。
終身保険は当たりハズレの大きい保険です。
というのも、解約返戻金の返戻率(支払った保険料に対して解約時に戻ってくるお金の割合)に各社大きな差があります。支払った保険料に+αの利息が上乗せされるお得な終身保険もあれば、大きく元本割れしてしまう終身保険もあります。元本割れしてしまう終身保険は選びたくないですよね。
終身保険の選び方のポイントは↓のリンク先に書いています。
リンク先の内容を要約すると、終身保険を選ぶ際に大切なのは以下の2点です。
まずはざっと概要を書いておきます。上記2点について、ソニー生命「米ドル建終身保険」の概要と評価は以下のとおりです。
項目 | 内容 | 評価 |
35歳の月額保険料 (保険金額100,000米ドル円、保険料払込期間60歳まで) |
男性:205.50米ドル 女性:178.70米ドル |
B |
解約返戻金の返戻率 | 満期直後:102.4% (35歳男性・保険金額10万米ドル・60歳まで保険料を支払う前提) |
B |
他社の低解約返戻金型の外貨建て終身保険と比較すると保険料はやや高め。外貨建て終身保険は情報が少ないので同条件での比較は難しいのですが、他社の通常型と比較すると保険料は平均的という印象です。
また、解約返戻金の返戻率も低解約返戻金型と比較すると高くはありません。他社の通常型と比較しても、際立って高いわけではないかと。
ちなみにですが、ソニー生命「米ドル建終身保険」は固定利率なので契約時に解約返戻金が決まります(積立利率固定型)。
契約から何年目に解約すると、〇〇〇ドルの解約返戻金を受け取れます
というのがソニー生命。
一方で、外貨建て終身保険のなかには積立利率が世の中の金利と連動するタイプがあります。
契約から何年目に解約すると、最低で〇〇〇ドルの解約返戻金を受け取れますが、運用がうまくいけばもっと増えるかもしれません
というのが積立利率変動型。
ソニー生命「米ドル建終身保険」は通常型で積立利率が固定なので、仕組みがシンプルでわかりやすい点がメリット。繰り返しますが、満期前に解約しても一定の解約返戻金を受け取れるので、
「途中で解約するかもしれない…」
という方なら候補に入ります。
その代わりに貯蓄性(老後の生活資金目的)という観点だと弱いかなと。老後の生活資金も見据えて終身保険を検討している場合は、低解約返戻金型で積立利率変動型の外貨建て終身保険と比較しておいて損はないと感じます(後述します)。
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ソニー生命「米ドル建て終身保険」基本情報
まずは基本情報を一覧にしました。他の終身保険と比較する際の手掛かりにどうぞ。
保険の種類 | 【終身保険】 ・死亡、高度障害を保障する保険です。 ・保障は一生涯続きます。 ・保険料は一生涯同じです。 ・貯蓄性があります(解約返戻金があります)。 |
【米ドル建て】 ・米ドルで保険料を支払います(為替レートを基準に円換算して円で支払います)。 ・解約返戻金、死亡保険金は米ドルか日本円かを選択できます。 |
|
選択できる保険金額 (死亡・高度障害時に受け取れる金額) |
3万米ドル~1,000万米ドルまで(円換算で7億円まで) |
保険料を支払う期間 | ・終身 ・加入者が指定した年齢 ・加入者が指定した期間 上記の3つから選択可能。年齢と期間は加入者が自由に決められます。 |
保険料を支払う回数 | 月払、半年払、年払 |
保険料を支払う方法 | 口座振替(クレジットカード払いは不可) |
保障される期間 | 一生涯(終身) |
ソニー生命「米ドル建終身保険」のメリット
為替手数料が安い。
外貨建て終身保険は円を外貨に変換して保険料を支払い、外貨を円に変換して死亡保険金・解約返戻金を受け取るのですが、その際に発生するのが為替手数料。
為替手数料は生命保険会社によって変わります。現在の外貨建て終身保険はメットライフ生命「USドル建て終身保険ドルスマートS」と、ジブラルタ生命「米国ドル建終身保険」の2強なのですが、この2社と為替手数料を比較してみます。
円→ドル(保険料を支払う) | ドル→円(死亡保険金・解約返戻金を受け取る) | |
メットライフ生命 | 0.5円 | 0.5円 |
ジブラルタ生命 | 0.5円 | 0.01円 |
ソニー生命 | 0.01円 | 0.01円 |
ソニー生命は「円→ドル」が2社よりも安い0.01円。
例えば、月200ドルの保険料を毎月支払うのなら、
メットライフ生命・ジブラルタ生命:200ドル×0.5円=100円
ソニー生命:200ドル×0.01円=2円
の手数料がかかるので、ソニー生命の方が98円安くおさまります。月々だと少額ですが、これが数十年続けばけっこうな差になります。
また、ソニー生命は「円→ドル」はメットライフ生命より安い0.01円。
例えば、100,000米ドルの死亡保険金を受け取る場合には
メットライフ生命:100,000ドル×0.5円=50,000円差し引かれる。
ジブラルタ生命・ソニー生命:100,000ドル×0.01円=1,000円差し引かれる。
ということで、49,000円の差があります。わずか数%の返戻率を争う中で、この差は無視できません。この点はメリットでしょう。
ソニー生命「米ドル建終身保険」のデメリット
為替の影響をモロに受ける。
この点はソニー生命「米ドル建終身保険」のデメリットというよりも、外貨建て終身保険のデメリット。
外貨建て終身保険は支払う保険料も受け取る死亡保険金・解約返戻金も全て外貨建て。日本円を外貨に変換して保険料を支払い、外貨で受け取った死亡保険金・解約返戻金を円に変換する必要があります。
ということで、厄介なのが為替リスク。具体的には
- 円安となった場合に、円換算の保険料がドンっと上がる。
- 円高となった場合に、円換算の死亡保険金がドンっと下がる。
の2点です。
例えば、保険料が月200ドルで1ドル100円であれば、円換算の保険料は2万円(200ドル×100円)。しかし、円安が進んで1ドル150円となれば円換算の保険料は3万円(200ドル×150円)に上がります。
毎月2万円で済んでいた保険料が、3万円に上がるのはけっこう辛い…。
また、100,000ドルの保険金額で契約し、被保険者が亡くなったときに1ドル150円であれば1,500万円(100,000ドル×150円)を受け取れますが、1ドル100円であれば1,000万円(100,000ドル×100円)にしかなりません。万が一のことが発生し、急遽現金が必要になったのに運悪く超円高だった場合は必要なお金を確保できない可能性もあります。
外貨建て終身保険を契約する際には、この2点に要注意です。月々の保険料は余裕をもって支払える金額に抑えておいたほうが無難です。
クレカ払いできない。
※2024年10月に改定があり、保険料をクレジットカードで支払うことが可能となりました。本デメリットは解消済みです。
保険料をクレジットカードで支払うことができません。主な保険料支払い方法は口座振替です。
終身保険の保険料は高いです。クレジットカードで保険料を支払えば、それなりのポイント還元を受けられます。この点は地味にデメリットでしょう。
ちなみにですが、メットライフ生命「USドル建て終身保険ドルスマートS」はクレジットカードでの保険料支払いが可能です(ただしJCBのみ)。ポイント還元の恩恵を受けられます。
低解約返戻金型を選べない。
繰り返しますが、低解約返戻金型を選ぶことはできません。
低解約返戻金型の外貨建て終身保険と比較すると、保険料は高めで解約返戻金の返戻率は低め。ここで低解約返戻金型も選べる外貨建て終身保険のメットライフ生命「USドル建終身保険ドルスマートS」と、
・35歳男性
・死亡保険金額100,000米ドル
・保険料払込期間60歳まで
を条件に月々の保険料と解約返戻金の返戻率を比較してみます。
ソニー生命 | メットライフ生命 | |
月々の保険料 | 205.50米ドル | 193.90米ドル |
保険料総額 | 61,650米ドル | 58,170米ドル |
解約返戻金の返戻率 (満期直後) |
102.4% | 積立利率2.5%:109.9% 積立利率3.0%:120.2% |
保険料が安いのはメットライフ生命。月々だと僅かな差ですが、保険料総額でみると3,480米ドルの差があります。
解約返戻金の返戻率もメットライフ生命の方が優勢。
終身保険には貯蓄性があります。解約するとそれまで積み立てた保険料が解約返戻金として戻ってきます。そしてその解約返戻金の良し悪しを計る指標が返戻率です。
メットライフ生命は米ドルの金利によって積立利率が変動する積立利率変動型なのですが、その積立利率の最低保証が2.5%。最低保証の2.5%が継続したとしても、ソニー生命を上回る返戻率です。積立利率が3.0%を継続できれば、ソニー生命よりかなり高い返戻率になってますね(実際の積立利率はこちらで確認ができます)。
低解約返戻金型の外貨建て終身保険と比較すると、ソニー生命「米ドル建終身保険」は保険料が高めで、返戻率は低めです。
ソニー生命「米ドル建て終身保険」の評価。
評価:B(S、A~C)
低解約返戻金型を選べないので、貯蓄性の観点からすると弱いかなと。死亡保障だけでなく、老後の生活費を貯めるといった目的にも外貨建て終身保険を利用する場合には、他社の低解約返戻金型の外貨建て終身保険を選んだ方がよいでしょう。この場合はメットライフ生命「USドル建て終身保険ドルスマートS」、及びジブラルタ生命「米国ドル建終身保険」が候補に入ります。
一方で、満期前に解約しても一定の解約返戻金を受け取れるので、
「途中で解約するかもしれない…」
という方なら検討する余地があります。まあでも上述したメットライフ生命もジブラルタ生命も通常型を選べるので、この場合も2社と比較しておいて損はないでしょう。
ということで、評価は「B」としました。これしかない!という外貨建て終身保険ではありません。まあまあ普通です。
ソニー生命「米ドル建て終身保険」の相談をするなら。
ソニー生命「米ドル建て終身保険」は全国の保険ショップで取り扱っています。
しかし、ふらっと入った保険ショップで
「うちはソニー生命と提携してないですよ」
なんて言われたら悲しいですよね。そんなことがないように事前に調べておきましょう。
手堅いのは保険クリニックです。保険クリニックならソニー生命はもちろんのこと、比較対象に挙げたメットライフ生命・ジブラルタ生命とも提携しています。
サイト上の予約フォームに相談したい内容をざっくり入力し、予約してから訪問した方が効率的に最適なプランへたどり着けます。
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わかりやすく実績を確認できるのが第三者機関による顧客満足度調査。オリコン社が実施した保険ショップの顧客満足度調査にて2021年から2023年までの3年連続No.1、2023年10月に実施した株式会社DRCによるインターネット調査にて総合1位を獲得しています。
保険クリニックは契約手続きとアフターフォローにも定評があります。
保険金の不払い率をこちらにまとめていますが、不払いとなる理由の多くは
- 契約時の告知事項に不備があった。
- 契約上、保険会社に支払う責任がない。
の2点。
1点目は保険を契約する際に生命保険会社へ知らせた告知事項(過去の病歴とか現在の健康状況とか職業等)に誤りがあったケースで、終身保険にはこれが稀にあります。
告知事項の誤りの主な原因は契約者の勘違いです。なので、保険ショップのスタッフが契約時にしっかり説明すれば回避できます。保険クリニックでしっかり説明を受けて契約すれば、まず該当することはないかと。
また、2点目はそもそも保険会社に保険金を支払う責任がないケースですが、医療保険やがん保険には責任分界点が微妙なグレーゾーンが存在します。微妙なグレーゾーンでキーになるのが医師が書く診断書。診断書の表現ひとつで保障されないこともあります。
そんなときに、
「こういうふうに診断書を書いてもらうと保障されやすいですよ」
といったアドバイスをできるのは保険ショップのスタッフだけです。生命保険会社のコールセンターに問い合わせても、わざわざ自分たちの不利になるアドバイスはしてくれません。
保険クリニックはアフターフォローの評価も高めです。契約後のコミュニケーションを密にしておくことで、万が一の場合には腹を割った相談がしやすくなります。こういう裏情報的なアドバイスは信頼関係がないとできないことなので。
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生命保険の相談は気軽な気持ちで。重く考える必要はありません!
まとめ
公式サイト:ソニー生命「米ドル建て終身保険」
低解約返戻金型を選べないので、貯蓄性という観点では弱いです。老後の生活費を貯めるといった目的で選ぶなら、他社の低解約返戻金型の外貨建て終身保険を選んだ方がよいでしょう。メットライフ生命「USドル建て終身保険ドルスマートS」、及びジブラルタ生命「米国ドル建終身保険」あたりと比較を。
一方で、満期前に解約しても一定の解約返戻金を受け取れるので、
「途中で解約するかもしれない…」
という方なら検討する余地があります。上述したメットライフ生命もジブラルタ生命も通常型を選べるので、この場合も2社と比較を。
保険クリニックならソニー生命はもちろんのこと、メットライフ生命・ジブラルタ生命とも提携しています。3社間で迷ったら、手っ取り早いのは保険クリニックです。
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※2024年10月更新 保険料がクレカ払い可能となったことを反映。