医療保険に入る目的のひとつに「差額ベッド代」があると思います。
差額ベッド代とは、1部屋4床以下の少人数部屋や個室で入院する場合にかかる病室の利用料を指します。1部屋5~6床で利用する大部屋で入院すれば差額ベッド代はかかりませんが、4床の少人数部屋や個室で快適に入院する場合は差額ベッド代が必要になります。
差額ベッド代には健康保険が適用されません。差額ベッド代は3割負担ではなく、全額自己負担。また、公定価格みたいなものはなくて、病院が自由に利用料を決められます。良心的な病院だと、個室でも差額ベッド代は頂きません!末期がんなら無料で個室に移動します!といったこともあります。
厚生労働省が公表している1日あたりの平均差額ベッド代は以下のとおり。
1人室:8,322円
2人室:3,101円
3人室:2,826円
4人室:2,705円
全平均:6,620円
※中央社会保険医療協議会(第548回、令和5年7月5日)「主な選定療養に係る報告状況」参照
平均からすると個室でも1日8,322円。ビジネスホテル並みの金額で利用できますが、↑はあくまで平均です。大都市の大きな病院であればもうちょっと高くなりますし、地方の病院であればもうちょっと安くおさまります。
医療保険の保障額を決める際に
「近所の病院の差額ベッド代はいくらくらいなんだろう?」
と、調べたくなる方もいらっしゃるかと思いますが、厚生労働省の地方厚生局が差額ベッド代を病院ごとに集計しています。
●東北厚生局(青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県)
●関東信越厚生局(茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・新潟県・山梨県・長野県)
●東海北陸厚生局( 富山県・石川県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)
●近畿厚生局(福井県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県)
●四国厚生局(香川県・徳島県・愛媛県・高知県)
●中国四国厚生局(鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県)
●九州厚生局(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県)
↑の各リンク先に「保険外併用療養費医療機関名簿」といった項目があります。保険外併用療養費医療機関名簿に掲載されているリンクを開くと、病院ごとに個室・少人数部屋の病床数と徴収金額(差額ベッド代)が記載されています。
例えば、こんな感じ。
↑の遠山病院(岩手県盛岡市)であれば、個室入院でも1日3,850円。個室で快適に1ヶ月入院しても、差額ベッド代は12万円程度に収まります。
一方で、東京医科歯科大学病院(東京都新宿区)の差額ベッド代はこんなかんじ。
1泊154,000円…。
1ヶ月入院すると462万円です。庶民に手が届く金額ではありません。これはもう有名芸能人・有名スポーツ選手・大物政治家・お金が余ってる経営者が利用するクラスでしょう。
↑の462万円は極端な例ですが、東京にも1泊2万円以下で個室入院できる病院はたくさんあります。東京医科歯科大学病院にも、1泊6,600円で入院できる安価な個室が用意されています。
自腹で出すのは躊躇するけど、医療保険が差額ベッド代を出してくれるなら気軽に利用できるのが個室病床。個室であれば人目を気にせず快適に苦しむことができます。医療保険の保障額を決める際には、近隣の病院の差額ベッド代を参考にしてみてください。