メンタル疾患(うつ病等)を手厚く保障できる医療保険・就業不能保険

うつ病の12カ月有病率(過去12カ月に経験した者の割合)は1~8%、生涯有病率(これまでにうつ病を経験した者の割合)は3~16%である。日本では12カ月有病率が1~2%、生涯有病率が3~7%であり、欧米に比べると低い。一般的に女性、若年者に多いとされるが、日本では中高年でも頻度が高く、うつ病に対する社会経済的影響が大きい。

引用:厚生労働省

一生涯でうつ病にかかる人の割合は3%~7%。おおよそ25人に1人がかかる計算です。「心の風邪」という言われ方もしてますが、身近な病気であることには間違いありません。

また、うつ病を含むメンタル疾患は回復までに時間がかかります。気分障害(うつ病)の入院日数平均は113.9日、統合失調症だと入院日数平均は531.8日に及びます(生命保険文化センター)。

入院が必要となるケースはかなりの重症ですが、入院のない在宅療養でも半年から1年程度休職することはよくあること。さらに職場復帰となっても再発することも多々あるのがメンタル疾患です。なかなかやっかいですよね…。

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うつ病になったら受け取れる給付金。

会社員の方がメンタル疾患が原因で働けなくなると、まずは有給休暇を消化してゆっくり休むことになります。有給休暇を全て消化し終わっても回復しない場合は、人それぞれの状況によって対応が分かれます。

まずは会社の就業規則を知る。

メンタル疾患によって休職できるのか、どれくらいの期間休職が許されるのか、休職中の給与支払いはどうなるのか。それを決めているのが会社の就業規則です。会社員の方であれば、まずは勤め先の就業規則を確認してみましょう。

しかしながら、メンタル疾患での休職は認められるものの、休職期間中は「無給」となるのが一般的です。やはり、生活は不安定になってしまいそうですよね…。

それでも、多少の手当が給付される良心的な企業も中にはあります(IT系企業に多いようです)。まずは勤め先の制度を使い倒すことを考えましょう。

労災認定されるか【ハードルが高い】

次に労災認定です。しかしそのハードルは低くありません。以下の3つの条件を満たす必要があります。

  1. 認定基準となる精神障害を発病していること。
  2. 精神障害の約6か月間に業務による強い心理的負荷が認められること。
  3. 業務以外の心理的負荷や個体側要因により精神障害が発病したとは認められないこと。

労災認定されるためには、メンタル疾患が発症する前の6ヶ月間に長時間労働やパワハラがあったこと、及び私生活のストレス状態が基準以下であったことを証明する必要があります。

労災認定されれば、休業4日目から「休業補償給付」および「休業特別支給金」を受け取れます。受け取れる金額は以下のとおり、

休業(補償)給付=給付基礎日額の60%×休業日数
休業特別支給金=給付基礎日額の20%×休業日数

2つあわせて、概ね月給(賞与を含まない)の80%を受け取れる計算ですね。

しかし、認められるハードルはかなり高いです。現実的には次に書く「傷病手当金」を受け取るケースが大半です。

健康保険から傷病手当金をもらう【現実的】

メンタル疾患で長期休職となった場合、通常は健康保険から傷病手当金を受け取りながら療養することになります。

受け取れる金額は月給のおよそ2/3。受け取れる期間は1年6ヶ月程度です。詳細はこちらに書いていますが、1年6ヶ月程度は無給とならないことを知っておきましょう。いきなり収入が途絶えるということはありません。

ちなみに、国民健康保険に加入しいてるフリーランス・自営業の方には傷病手当金は給付されません。給付されるのは会社員のみ。この点も要注意です。

1年6ヶ月を超えて休職が続いた場合。

傷病手当金の給付期間は1年6ヶ月です。1年6ヶ月を超えて休職が続く場合は障害年金を頼ることになります。

障害等級は1級~3級に分かれます。「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害」の基準を抜粋すると以下のとおり。

等級 基準
1級 ・統合失調症によるものにあっては、高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの。
・気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの。
2級 ・統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの。
・気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの。
3級 ・統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの。
・気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの。

ざっくり言うと、働けるか働けないかのボーダーラインが3級、働くことはまず不可能なのが2級、日常生活すらままならず介護が必要な状態は1級といったところでしょうか。

障害年金の受給額は給与や年金加入期間、家族構成によって変わるので一概には言えませんが、障害等級3級だと給付される金額は多くありません。月10万円もらえる人は少ないのではないかと…。障害等級2級でも配偶者と子供2人がいる世帯で月15万円前後になることが多いと思います。

こうなると貯金の切り崩しが始まります。貯金が尽きれば生活保護もあり得ます。

メンタル疾患を保障対象としている就業不能保険・医療保険まとめ

メンタル疾患を保障対象とする就業不能保険・医療保険をまとめます。

最近はメンタル疾患を保障対象とする就業不能保険・医療保険が増えてきていますが、その保障内容は様々。

「仕事を休んで自宅でゆっくりしましょうか」

と、医師から在宅療養を指示されただけで保障対象になる保険もあれば、入院が必要となるような重症のみを保障対象とする保険もあります。保障内容を理解せずに加入してしまうと、

「うつ病で休職しているのに何も保障されない…」

「まだまだ職場復帰まで時間がかかりそうなのに、保障が終わってしまった…」

ということにもなりかねません。選ぶ際には慎重に。

ネオファースト生命「ネオdeいちじきん」

  • 「入院」「在宅療養」が保障条件です(ストレス性精神疾病療養給付金)。
  • 180日1回、通算10回まで一時金が給付されるので、そこそこ長期のメンタル疾患にも備えられます(ストレス性精神疾病療養給付金)。
  • 気分障害(うつ病)は保障対象ですが、統合失調症は保障対象外です。

ストレス性疾病保障特約というオプションを付加すると、メンタル疾患が保障対象となります。保障内容は以下のとおり。

給付金 給付条件 給付間隔
ストレス性疾病診断給付金 所定のストレス性疾病と診断されたとき 180日に1回(通算2回まで)
ストレス性精神疾病療養給付金 所定のストレス性精神疾病による療養状態が30日以上継続したと診断されたとき 180日に1回(通算10回まで)

ストレス性疾病診断給付金が保障対象とするのは難聴や胃潰瘍といった、ストレスが原因となる耳や消化器科の疾病です。「うつ病」「統合失調症」「パニック障害」といったメンタル疾患は保障対象外。保障額も少額なので、ありがたみはあまりないかなと。

強力なのはストレス性精神疾病療養給付金です。ストレス性精神疾病療養給付金が保障対象とするメンタル疾患は以下のとおり。

ストレス性精神疾病療養給付金 気分[感情]障害(躁病、うつ病など)、神経症性障害(恐怖症性不安障害、パニック障害、強迫性障害など)、摂食障害(神経性大食症、拒食症など)、非器質性睡眠障害(不眠症、過眠症など)、自律神経系の障害(自律神経失調症など) など

気になる「うつ病」は保障対象に含まれます。社会人によくあるメンタル疾患は概ね含まれてますが、統合失調症は保障対象外。

統合失調症とは、幻覚や妄想があらわれるメンタル疾患です。うつ病と比べればマイナーなイメージのある統合失調症ですが、厚生労働省によると日本人の100人に1人がかかる病気だそうです。統合失調症が保障対象外である点は要注意です。

また、ストレス性精神疾病療養給付金の給付条件に「療養状態」とありますが、具体的には

  • 医師による治療が必要であり、かつ、自宅等での治療が困難なため入院し、常に医師の管理下において治療に専念している状態
  • 医師による治療が継続しており、かつ、自宅等で医師の医学管理下において計画的な治療に専念している状態

を指します。ざっくり言うと、入院と在宅療養が給付条件ですね。

メンタル疾患を保障対象とする医療保険・就業不能保険は増えていますが、保障条件は「入院」「障害等級2級以上」といった重症であることが大半です。ネオファースト生命「ネオdeいちじきん」は在宅療養が保障条件に含まれているので、

「まあちょっと自宅でゆっくりしましょうか」

と、医師に診断されれば保障対象になるかと。この点はメリットでしょう。

ここで30歳を例にシミュレーションしてみます。

保障内容 入院一時金:5万円
ストレス性疾病診断給付金:5万円
ストレス性精神疾病療養給付金:30万円
30歳男性保険料 2,002円/月
30歳女性保険料 2,164円/月

上記の保障内容で「うつ病」と診断され、入院や在宅療養が30日以上続くと、180日に1回30万円が給付されます。180日に1回間隔で、通算10回まで給付されるので、5年間は一時金給付が継続されます。まあまあ長期のメンタル疾患にも耐えられる保障内容です。

まとめると、

  • 社会人がかかりやすいメンタル疾患は概ね保障対象だが、統合失調症が保障対象外である点には要注意。
  • 在宅療養でも保障対象。他社と比較して保障条件はゆるい。
  • 180日に1回、通算10回まで一時金給付される。5年間は一時金給付が続くので、長期のメンタル疾患にもそこそこ備えられる。

です。割と使える保障内容です。詳細は↓に書いてます。

ネオファースト生命「ネオdeいちじきん」

FWD生命「FWD医療」

  • 「障害等級」が保障条件です。
  • 条件を満たせば、一時金と年金(2年間)が給付されます。
  • 保険料が激安です。

メンタル障害支援特約というオプションを付加すると、メンタル疾患が保障対象となります。保障内容は以下のとおり。

給付金 給付条件 給付間隔
メンタル障害年金 手帳基準で障害等級1級~2級
年金基準で障害等級1級~2級
月1回(2年間)
初期メンタル障害一時金 手帳基準で障害等級1級~3級
年金基準で障害等級1級~2級
1回のみ

保障対象とするメンタル疾患は障害等級認定されるような重症です。

「まあちょっと自宅でゆっくりしましょうか」

というような軽症は保障対象になりませんが、それでも条件はややゆるめ。

障害等級には手帳基準と年金基準があり、認定条件も微妙に異なります。

①障害者手帳の等級:地方自治体が提供している公的サービスの一環。身体障害の場合は1級から7級、精神障害の場合は1級から3級まであり、障害の程度によって等級が決まる(数値が低いほど程度が重い)。認定されると医療費助成や各種税金の軽減措置、公共交通機関での料金割引などを受けることができる(詳しくは厚生労働省のサイトを参照)。

②障害年金の等級:国の年金制度。1級から3級まであり、障害の程度によって等級が決まる(数値が低いほど程度が重い)。認定されると国から障害年金が給付される(詳しくは年金機構のサイトを参照)。

他社だと年金基準で2級以上を保障対象とすることが多いのですが、FWD生命「FWD医療」は手帳基準も条件に含めていて、さらに手帳基準3級で一時金が給付されます。条件は比較的ゆるいと言っていいでしょう。

また、FWD生命「FWD医療」は保険料が激安です。30歳男性が保障額月10万円でメンタル障害支援特約を付加した場合の特約保険料は+54円/月。詳細は↓に書いてます。

FWD生命「FWD医療」

アクサ生命「アクサのネット完結働けないときの安心」

  • 「入院」「障害等級2級」が保障条件です。けっこうな重症が保障対象です。
  • 給付回数は18回限度です。長期の休職に備えるにはちょっと…。

アクサ生命「アクサのネット完結働けないときの安心」は、働けなくなった場合に備える就業不能保険です。就業不能保険はケガやメンタル疾患を除く病気を保障対象とするが多いのですが、アクサ生命「アクサのネット完結働けないときの安心」はメンタル疾患も保障対象。この点は良心的です。

メンタル疾患の保障内容は以下のとおりです。

給付金 給付条件 給付間隔
就業不能給付金 ・治療を目的とした入院
・障害等級2級以上
月1回(18回限度)

保障対象とするメンタル疾患は入院や障害等級認定されるような重症です。

「まあちょっと自宅でゆっくりしましょうか」

というような軽症は保障対象になりません。この点は要注意です。

また、給付回数も月1回で18回限度。最長で18ヶ月です。長期に備えるという意味でも不安が残ります。傷病手当金の不足分となる給与の1/3を補うといった目的でしょう。

ただし、保険料はお手頃です。毎月10万コースなら、月々の保険料は40歳男性なら2,190円、40歳女性なら1,810円。詳細は↓です。

アクサ生命「アクサのネット完結働けないときの安心」

アフラック「休職保険」

  • 「入院」「在宅療養」が保障条件です。在宅療養でも保障対象です。
  • 給付回数は12回限度です。長期の休職に備えるにはちょっと…。

アフラック「休職保険」も働けなくなった場合に備える就業不能保険です。こちらも良心的で、メンタル疾患も保障対象です。

メンタル疾患の保障内容は以下のとおりです。

給付金 給付条件 給付間隔
精神疾患回復支援給付金 入院もしくは所定の在宅療養が30日以上継続。 月1回(12回限度)

在宅療養でも保障対象です。

「まあちょっと自宅でゆっくりしましょうか」

と医師から診断されれば保障対象となる点はメリットですが、保障されるためにはアフラック指定の休職証明書を勤務先に提出し、

「この人は働くことができずに、仕事を休んでいます」

ということを代表者、もしくは人事担当者に書いてもらう(押印)必要があります。

休職に理解のあるホワイト企業なら難しくはないかもしれませんが、仕事を休むと態度を変えるようなブラック企業にお勤めの場合はけっこう難しい調整になるんじゃないかと…。

また、メンタル疾患で休職している状態だと、

「これを書いてほしいんです」

と勤務先にお願いするのにも相当のエネルギーが必要です。

条件が入院or在宅療養である点はゆるいのですが、勤務先に休職証明書を書いてもらえるか、またメンタル疾患となった場合に休職証明書記入を勤務先に依頼するエネルギーが自分に残されていそうかは十分に検討した方がよいでしょう。

ちなみに、給付回数は月1回で12回限度なので、傷病手当金の不足分となる給与の1/3を補うといった目的でしょう。長期に備えられる保険ではありません。

アフラック「休職保険」

チューリッヒ生命「収入保障保険プレミアムDX」

  • 「入院」が保障条件です。けっこうな重症が保障対象です。
  • 一度条件を満たせば、保険期間満了まで年金給付されます。長期の休職に備えることができます。

本来は収入保障保険(亡くなった場合に備える保険)ですが、オプションを追加すればメンタル疾患にも備えることができます。

メンタル疾患の保障内容は以下のとおりです。

給付金 給付条件 給付間隔
就業不能年金 60日を超える入院 月1回(保険期間満了まで)

保障対象とするメンタル疾患は60日を超える入院となる重症です。

「まあちょっと自宅でゆっくりしましょうか」

というような軽症は保障対象外です。

また、保障対象となるストレス性疾病は下記のとおり。社会人によくあるメンタル疾患は概ね含まれています。

①統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害
②気分[感情]障害(うつ病等)
③神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害
④摂食障害
⑤非器質性睡眠障害
⑥胃潰瘍
⑦十二指腸潰瘍
⑧潰瘍性大腸炎
⑨過敏性腸症候群
⑩更年期障害

最大の特徴は年金給付が開始されれば、途中で回復したとしても保障期間中は年金給付が継続する点でしょう。

例えば、30歳のときに保障期間60歳まで契約、38歳でメンタル疾患で60日超入院すれば、60歳までの22年間毎月年金が給付されます。メンタル疾患が回復して、元の通りに働けるようになったとしても、60歳まで毎月年金が給付されます。

僕が知る限り、ここまで長くメンタル疾患が保障される保険は業界初です。これだけ長期だと障害等級認定されて一生涯働けなくなるような状態にも耐えられるかと。

ただし、保険料は高めです。保険料は多少高くても、メンタル疾患に対する手厚い保障が必要ならば、「アリ」の保険でしょう。

チューリッヒ生命「収入保障保険プレミアムDX」

まとめ うつ病に強い保険。

ネオファースト生命「ネオdeいちじきん」を推します。

ポイントは

  • 在宅療養でも保障対象。保障条件がゆるい。
  • 180日に1回、通算10回まで一時金が給付される。最大5年間一時金給付されるので、長期の休職にもある程度備えられる。

の2点です。保障条件はゆるいけど長期に備えることができなかったり、長期に備えられるけど重症しか保障対象にならない就業不能保険・医療保険が多いなか、両方揃ってるのはネオファースト生命「ネオdeいちじきん」です。

月々の保険料も高くはないので、まずはネオファースト生命「ネオdeいちじきん」を検討してみるでよいと感じます。

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