生命保険・医療保険に入る前に知っておくべきこと。それは公的な社会保険制度です。
まずは国が何をしてくれるかを知ること。足りない部分を民間の生命保険・医療保険でカバーするのが基本的な考え方です。
「働けなくなったらどうしよう…」
こんな不安って老後を迎えるまでずーーーーーっとついて回ると思うんですが、働けなくなったときに頼れるのが健康保険の傷病手当金です。
マスコミは日本の社会保険制度を叩きまくってますけど、意外と手厚いんですよ。せっかく社会保険料やら税金やら給料天引きで取られてるんですから、使い倒さないと損ですよね。
ただし、これから述べるのは今現在の内容です。未来のことは誰にもわかりませんが、今後も同水準の社会保険を持続させることは難しいという前提に立って生命保険・医療保険を考えたほうがいいでしょう。
徐々に国を頼れなくなっていく中で、民間の生命保険・医療保険がカバーする部分を手厚くしていく必要があるのだと思います。
【傷病手当金】働けなくなっても1年6ヶ月間、給料の2/3が支給される!
健康保険法等を根拠に、ケガや病気で働けなくなった場合に支給されるのが傷病手当金です。
支給期間は概ね1年6ヶ月。支給額は月給の2/3のという場合が多いようですね。
(所属している健康保険によって異なるようです)
ちょっと細かくなりますが、例えば月給30万円(額面)のAさんが100日間連続で働けなかった場合、支給される傷病手当はこんなかんじになります。
標準報酬日額:30万円÷30日=1万円
支給対象日数:100日―3日=97日間
1万円×2/3×97日間=646,666円
100日から3日引かれる理由がよくわかんないですよね。後述しますが、傷病手当が支給される条件に「連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと」というのがあります。
この条件を満たすために、3日間は待期期間として支給対象期間から外れます。
ちなみに、支給対象日数には休日も含まれます。土日祝が休みの会社なら、土日祝も含めて働けなかった期間が支給対象日数となります(ちょっとお得ですね)。
なので、1ヶ月の営業日数が20日として3ヶ月休んだとしても、20日×3ヶ月=60日が支給対象となるのではなく、30日×3ヶ月=90日が支給対象となります(かなりお得ですね)。
傷病手当金が支給される条件
受給するには以下の4つの条件を全て満たすことが必要です。
ざっと各条件を見ていきます。
(1)業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
業務中の病気やケガは労災でカバーされます。業務外の病気やケガで働けなくなったケースをカバーするのが傷病手当金ですね。
ちなみに、入院していなくて自宅治療でも支給されます(なので、うつ病とかで働けなくなっても支給されます)。
また、健康保険適用範囲外の治療を受けていても支給されます。
(2)仕事に就くことができないこと
仕事に就けるか就けないかはお医者さんの判断です。
「仕事に就けない」
という医師の意見が支給に必要となります。
(申請書に医師の意見を書く必要があります)
(3)連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
これが先ほど書いた待期期間ですね。
「2日間風邪で休んだから傷病手当金もらえる!」
とはなりません。
この3日間は有給休暇期間内でも問題ありません。土日祝日が含まれていても構いません。
金曜日にケガをして、土日月と休んだら、火曜日から支給対象になります。
まぁでも一般的には有給休暇を使い果たした後、即時に傷病手当金へ切り替えることが多いでしょうね。
(4)休業した期間について給与の支払いがないこと
これはそのとおりですね。
給与をもらってる期間、傷病手当金は支払われません。
傷病手当金の申請について
こういう健康保険関係はほんとに申請が面倒です。
「さくっと3分で終わります」
とか本当は書きたいんですけど、絶対終わりません。病気中にこんなんやらせんなよってくらい面倒です。
申請書は所属する健康保険によって様々ですので、よく調べてみましょう。
ちなみに、健康保険協会の申請書はこんな感じです。
おそらくどこの健康保険組合も同じかと思いますが、申請書を書くには3つのステップが必要となります。
申請書提出ステップ① まずは申請者本人が申請書を書く
本人に関する基本的な事項(氏名とか住所とか)を書きます。
まあこれは当たり前ですね。
申請書提出ステップ② 次に会社に書いてもらう。
会社員なら人事担当が書いてくれると思います。
受給条件の
(3)連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
(4)休業した期間について給与の支払いがないこと
2点を会社に照明してもらうことになります。
申請書提出ステップ③ 医師に書いてもらう。
医師とは仲良くしておきましょう。申請書には医師の意見も必要です。
受給条件の
(1)業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
(2)仕事に就くことができないこと
2点は医師の意見として申請書への記載が必要となります。
全て書き終えたら会社か健康保険組合へ提出する。
会社員であったら、会社へ提出することが多いと思います。会社から健康保険組合へ送付ですね。
全て書き終えたらさっさと送りましょう。そして支給を待ちましょう。
支給が開始されるのは申請から1ヶ月後が目安!
申請して即、傷病手当金が支給されるわけではありません。
支給開始の期間は健康保険組合によっても様々なようですが、概ね1ヶ月後が目安になります(書類に不備があると差し戻されて支給開始が遅れます!)。
申請書の内容が審査され、審査合格までに1ヶ月程度かかるということですね。1ヶ月生きていけるだけの貯蓄は必要そうです。
過去2年にさかのぼって傷病手当金は申請可能!
「あー、こんな制度知っていたら、あのとき使っていたのに…」
「休み始めてけっこう経ったけど、いまから申請可能でかなぁ…」
大丈夫です。傷病手当金は過去2年間にさかのぼって申請することが可能です。
いまからでも遅くはありません。まずは健康保険組合に相談してみましょう!
支給期間の1年6ヶ月が過ぎるとどうなるのか。
そして怖いのが支給期間の1年6ヶ月が過ぎたときですよね。
残念ながら1年6ヶ月を過ぎれば支給は停止されます。
(健康保険組合によって期間は異なります)
1年6ヶ月を過ぎても働けない場合は、ケガや病気の程度にもよりますが、
- 会社を解雇されていれば一定期間失業手当で生活する。
- 「障害年金」を受給しながら生活をしていく。
- 貯金を切り崩し、貯金が底をついたら生活保護を受ける。
ケースが多いと思います。ちょっと暗い話ですが、経済的に困窮するのは間違いなさそうです…。
まとめ 働けなくなったら迷わず傷病手当金を受け取りましょう。
働けなくなったからって後ろめたい気持ちを持つ必要は全く無いです。
堂々と傷病手当金を受け取りましょう。
1年6ヶ月はのんびり休んで、そのあとゆっくり社会復帰していけばいいんです。
でも、1年6ヶ月過ぎたあとにどうなるのかちょっと不安ですよね。
そんなときは民間の就業不能保険があります。働けなくなったら契約した年齢(60歳とか)まで、毎月お金がもらえる民間の保険です(毎月10万円とか20万円とか)。
あれば安心の就業不能保険。就業不能保険の加入を検討してもいいかもですね。
コメント
為になるサイトですね、非常にありがたいです。
今日だけで20記事ほど拝見しました、参考に致します。
今後とも更新を宜しくお願いします。
裸の王様 様
コメントありがとうございました!
こういったサイトは一方通行になりがちなので、
読んで頂いた方からのレスポンスはとても励みになります。
今後ともよろしくお願いいたします!