T&Dフィナンシャル生命の就業不能保険「働くあなたにやさしい保険2」。
年金コースと一時金コースがあり、
- 年金コース…いわゆる就業不能保険。障害・介護・三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)を保障。
- 一時金コース…医療保険の一時金保障とほぼ同等。三大疾病で所定の条件を満たせば1年に1回一時金を給付。
です。一時金コースの保障内容は医療保険に近いため、本記事では評価外とします(保障内容は良いです)。本記事では年金コースを取り上げます。
年金コースには
- がんプラン
- 障害介護プラン
- 三大疾病障害介護プラン
の3つのプランがあります。
がんプランはそのものズバリ、がんと診断されたら保障するタイプ。逆に言うとがん以外が原因で働けなくなっても保障されません。
障害介護プランは国の障害等級認定・要介護認定と連動して保障するタイプで、後遺障害を負うような状況を保障です。三大疾病障害介護プランは、がんプランと障害介護プランに心疾患・脳血管疾患の保障が加わった最強タイプ。
以上がざっくりとした構成です。
全般的に保障内容は悪くありません。障害・介護の保障は他社同等。保障される疾病は三大疾病に限定されますが、働けなくなる原因の大半はカバーできていると感じますし、保障条件も良いです。
大きな特徴は条件を満たせばずっと給付が続く点でしょう。
年金コースの給付期間は
- 有期年金
- 5年確定年金
から選べます。
有期年金は保険期間満了まで給付が続くタイプ。例えば、30歳時に保険期間60歳まででがんプランを契約、そして40歳のときにがんと診断されれば生きている限り60歳まで毎月給付を受けられます。もちろん回復して元気に働けるようになっても60歳まで給付継続です。
5年確定年金は5年間給付が続くタイプ。↑の例だと、回復して働けるようになっても45歳まで毎月給付です。
一般的な就業不能保険は働けるようになれば給付がストップするのですが、病み上がりにいきなりフルタイム勤務できることは少ないです。時短勤務とか休暇を交えながら徐々にフルタイムに近づいていくことが多いのですが、その間の収入が元に戻らないことが大半でしょう。
なので、働けるようになっても給付が続く点は安心ですが、見方を変えれば元気になっても受け取れる給付金は過剰保障。過剰な保障は保険料に跳ね返ります。保険料は高めです。
就業不能保険の選び方のポイントは↓のリンク先に書いています。
リンク先の内容を要約すると、選び方で大切なのは以下の5点です。
まずはざっと概要を書いておきます。上記5点について、T&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険2」の概要と評価は以下のとおりです。
項目 | 内容 | 評価 |
公的制度連動(保険会社独自の基準) | 障害等級2級以上(年金基準) 要介護2以上 独自基準なし |
A |
入院・在宅療養 | 保障あり(がん・心疾患・脳血管疾患に限定) | B |
メンタル疾患 | 条件:障害等級2級以上 給付期間:有期年金or5年確定年金 |
A |
復帰後の給付継続 | あり | B |
30歳の月額保険料 (保障月額10万円、保障期間60歳まで・三大疾病障害介護プラン・有期年金) |
男性:8,690円 女性:10,590円 |
C |
40歳の月額保険料 (保障月額10万円、保障期間60歳まで・三大疾病障害介護プラン・有期年金) |
男性:10,940円 女性:11,550円 |
保障内容に大きな問題はないでしょう。
障害が年金基準で2等級から保障される点は業界標準です。悪くありません。
入院・在宅療養の保障は三大疾病に限定されますが、個人的な感覚では働けない原因の8割ぐらいはカバーできてるかなと感じます。免責期間がなく、短期入院でも保障される点はメリット。しかし、ケガの入院が保障対象外なのはやや不安といったところ。
メンタル疾患の保障条件は障害等級2級です。他社は障害等級2級に加えて入院でも保障されることがあるので条件はやや厳しめですが、障害・三大疾病と同じく有期年金or5年確定で年金給付する点はメリットです。他社はメンタル疾患の場合、給付期間に18ヶ月程度の上限を設けることもあります。メンタル疾患でも長期間給付が続く点は安心です。
一方で、保険料は高めです。
冒頭書いたとおり、T&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険2」は回復して働けるようになってもずっと給付タイプです。このタイプは保険料が高め。
他社には「症状が改善して条件を満たさなくなれば給付ストップ」タイプもあります。このタイプは保障が必要十分なので、保険料も安くおさまります。保険料を重視するのなら、他社の就業不能保険と比較しておいて損はないでしょう。
就業不能保険の相談は保険クリニックで!
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T&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険2」の保障条件評価
死亡保険は亡くなったら保険金が支払われます。白黒ハッキリしていてわかりやすいですよね。それに対し、就業不能保険は保障条件(働けない定義)が生命保険各社バラバラです。
まずは就業不能保険で重要な「働けない定義」を評価します。
公的制度連動の条件
就業不能保険は障害年金・障害者手帳・要介護認定といった公的制度と連動して保障することが大半です。例えば、片手を失って障害等級2級に認定されると、契約終了(65歳までとか)まで毎月10万円給付といった感じ。
T&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険2」も公的制度を保障条件に含めています。その条件は
●障害等級2級以上(年金基準)
●要介護2以上
です。
まずは障害から。
保障条件は平均的。他社も年金基準で障害等級2級以上を保障条件とすることが多いです。
ちなみにですが、障害等級2級は
「日常生活が極めて困難で、 一般的に活動の範囲が、病院では病棟内、家庭では家屋内に限られる」
といった状態を指します。日常生活もままならず、働くことは到底無理といった状態ですね。これくらいの状態から保障されれば安心でしょう。
ただし、T&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険2」には独自条件がありません。年金の障害等級は認定まで1年半かかることもあり、明らかに重い障害が遺るような状況でも給付まで1年半のタイムラグが生じることもあるでしょう。
他社は独自条件を設けることで、障害等級認定される前から給付スタートすることもあります。この点はややデメリット。
続いて介護。
要介護2から保障される点も平均的。しかし、現役世代が要介護認定を受けることは極めて稀です。そもそも40歳未満の方は要介護認定を受けられないですし、40~64歳の方は下記16疾病が原因で要介護状態となった場合に限定されます。
①がん(回復の見込みがない場合)
②関節リウマチ
③筋萎縮性側索硬化症(ALS)
④後縦靱帯骨化症
⑤骨折を伴う骨粗鬆症
⑥初老期における認知症
⑦進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患) ⑧脊髄小脳変性症
⑨脊柱管狭窄症
⑩早老症(ウェルナー症候群等)
⑪多系統萎縮症
⑫糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
⑬脳血管疾患(脳梗塞等)
⑭閉塞性動脈硬化症
⑮慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎等)
⑯両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
他社は要介護認定を受けにくい65歳未満を救うために
「寝たきりなったら要介護とみなします(国の要介護認定に関係なく)!」
といった独自条件を設けていることが多いのですが、障害と同じくT&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険2」には独自条件がありません。条件はやや厳しめです。
まとめると、保障条件は概ね平均的ですが、独自条件がない点はやや不利かなと。まあふつうでしょう。
入院・在宅療養
上述した公的制度連動の保障条件は、症状が固定された後の保障です。しかし、働けない期間は症状が固定された後に限りません。症状が固定される前の治療を受けている期間もだいたい働けません。
そこをカバーするのが入院・在宅療養の保障です。
上述のとおりT&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険2」は三大疾病のみ保障です。その保障条件は
がん:診断確定(「あなたはがんです」と診断されれば給付)
心疾患:急性心筋梗塞は1日以上の入院or手術、急性心筋梗塞以外の心疾患は5日以上の入院or手術
脳血管疾患:脳卒中は1日以上の入院or手術、脳卒中以外の脳血管疾患は5日以上の入院or手術
です。
ケガの入院は保障対象外ですし、上記3疾病以外の病気も保障対象外ですが、個人的な感覚では働けなくなる原因の8割程度はカバーできると思います。
また、一般的な就業不能保険には免責期間があり、60日を超えるような入院・在宅療養を保障するのですが、T&Dフィナンシャル生命は上述のとおり短期入院でも保障されます。この点はメリット。全般的に悪くありません。
メンタル疾患
働けなくなる原因の多くを占めるメンタル疾患ですが、メンタル疾患を保障しない就業不能保険もけっこうあります。T&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険2」はメンタル疾患も保障するので、まずこの点はメリット。
メンタル疾患の保障条件は上述した障害と同じく、障害等級2級以上です。よくある
「ちょっと会社を休んでゆっくりましょうか」
と医師に診断され、会社を休んで自宅でゆっくりしながら通院治療を受ける程度のメンタル疾患は保障対象外。保障されるのはかなりの重症ですが、他社の就業不能保険もこんなものです。悪くありません。
ちなみに、他社はメンタル疾患の給付回数に上限を設けていることがあり、最長でも18ヶ月程度しか年金を受け取れません。休職が長引いたとしても、上限を超えればスパッと給付終了です。
一方で、T&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険2」は有期年金or5年確定年金です。メンタル疾患は長引きやすい疾病ですし、職場復帰できたとしても再発したり時短勤務が長引くことも多いでしょう。長期間給付が続く点は安心です。
T&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険2」のメリット
給付がずっと続く。
繰り返しますが、T&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険2」の給付期間は
- 有期年金
- 5年確定年金
から選ぶことができます。有期年金は保険期間満了まで、5年確定年金は5年間ずっと給付が続きます。もちろん、症状が回復して元気に働けるようになっても給付継続です。
大きな病気で働けなくなってしまうと、職場復帰してすぐに元の収入に戻れるとは限りません。まずは時短勤務で復帰して、徐々にフルタイムへ戻っていくのが一般的。
よくあるのが、がんです。東京女子医大の調査では、がんと診断されてから時短勤務で復帰できるまでの平均が80日間で、フルタイムで復職できるまでの期間の平均が205日間だそうです。時短勤務からフルタイムで復職するまでの期間は平均125日間。およそ4ヶ月です。この4ヶ月間は収入減となることが多いでしょう。
他社の就業不能保険は時短勤務でも職場復帰すれば給付ストップすることがあります。このタイプだと時短勤務中の収入減はカバーできません。収入が戻らない期間も給付が継続する点はT&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険2」のメリットでしょう。
ただし、5年確定年金は障害を負った場合に不安が残ります。一生涯働けなくなるような障害を負ったのに、5年で給付ストップは辛い…。
また、保険期間満了まで給付が続く有期年金は保険料がかなり高めです。支払い続けるのがけっこうきつい保険料です。
なのでこの点は一概にメリットとは言えません。本質的には元気になっても受け取れる年金はオーバースペック。オーバースペックは保険料に跳ね返ります。
短期入院でも給付を受けられる。
一般的な就業不能保険には免責期間があります。よくある免責期間は60日間なのですが、これだと働けなくなっても60日間は給付がスタートしません。入院・在宅療養が60日間を超えた場合にようやく給付がスタートします。
一方で、T&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険2」は条件を満たせば即給付スタートです。急性心筋梗塞や脳卒中は入院即給付ですし、がんも診断されただけで給付スタートです。免責期間が過ぎるまで待つ必要はありません。
ちなみに、三大疾病の入院期間平均(35歳~64歳)はこんな感じです。
胃の悪性新生物:19.4日
結腸及び直腸の悪性新生物:12.7日
肝及び肝内胆管の悪性新生物:16.5日
気管、気管支及び肺の悪性新生物:16.1日
心疾患:12.6日
脳血管疾患:51.8日
(参考:生命保険文化センター)
平均からすると入院期間は60日未満。心疾患は退院後の在宅療養も含めて60日以内に社会復帰できるケースが大半ですし、軽度のがんであれば60日以内に社会復帰できることもあります。
こんな短期間で社会復帰できるケースは一般的な就業不能保険は保障対象外ですが、T&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険2」なら短期入院でも給付を受けられます。この点はメリットでしょう。
T&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険2」のデメリット
保険料が高め。
メリットに書いたとおり、T&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険2」は働けるようになっても給付継続です。このタイプは保険料が高めです。
ここで他社の就業不能保険と保険料を比較してみます。比較対象は業界トップクラスのアクサ生命「アクサのネット完結働けないときの安心」。こちらは保障条件から外れて働けるようになれば給付ストップです。
T&Dフィナンシャル生命 | アクサ生命 | |||
入院・在宅療養 | 三大疾病に限定 | 限定なしで保障 | ||
障害等級 | 年金で2級以上 | 年金で2級以上 | ||
要介護認定 | 要介護2以上 | ー | ||
メンタル疾患 | 年金で2級以上 | 入院もしくは年金で2級以上 ※給付期間上限18ヶ月 |
||
給付期間 | 有期年金or5年確定年金 | 条件から外れれば給付ストップ | ||
有期年金 | 5年確定 | (保障条件外で給付ストップ) | ||
月額保険料 | 30歳男性 | 8,690円 | 4,220円 | 2,200円 |
30歳女性 | 10,590円 | 4,490円 | 1,870円 | |
40歳男性 | 10,940円 | 6,900円 | 2,640円 | |
40歳女性 | 11,550円 | 6,460円 | 2,320円 |
※保険料は保障額月10万円・保障期間60歳で算出。T&Dフィナンシャル生命は三大疾病障害介護プラン。
アクサ生命「アクサのネット完結働けないときの安心」は働けるようになれば給付ストップなので、時短勤務中の収入減はカバーできませんが、その代わり上表のとおり保険料は激安。
保障内容は両社ほぼ同じですが、大きな違いはアクサ生命は入院・在宅療養を疾病に限定せず保障する点です。ただし、免責期間60日が設けられているので、保障されるのは60日を超えるような入院・在宅療養です。
上述のとおり、T&Dフィナンシャル生命はがんなら診断されるだけ、心疾患・脳血管疾患は短期入院でも保障されますが、アクサ生命は基本的に長期の働けないリスクに備えられる就業不能保険です。1~2ヶ月程度の休職は保障されません。
両社一長一短あるのですが、それにしてもT&Dフィナンシャル生命の保険料はちょっと高いかなと。メリットのところで、がんで時短勤務からフルタイムに復帰するまでの平均を4ヶ月と書きましたが、これくらいの期間の収入減を貯蓄の切り崩しでカバーできるのであれば、保険料の安いアクサ生命「アクサのネット完結働けないときの安心」で十分かなとは感じます。
T&Dフィナンシャル生命「働くあなたにやさしい保険2」の評価
評価:B(S、A~C)
保障内容は悪くありません。障害はきっちり保障されますし、入院・在宅療養は三大疾病に限定されるものの働けなくなる原因の大半はカバーできるでしょう。免責期間がないので、短期入院が保障される点もメリットです。
ただし、保険料が高い。
保険料が高い要因は、一度条件を満たせば働けるようになっても給付が続く点です。1ヶ月で職場復帰できるような軽度のがんで、60歳まで毎月10万円給付されれば笑いが止まりませんが、本質的にはオーバースペック。
「フルタイムで職場復帰できるまできっちり保障してほしい!」
「ブラック企業勤務もしくは非正規雇用で、大きな病気や障害が即失業につながる!」
という方であれば、ずっと給付が続く点は大きなメリットになると思いますが、そうでないなら安い保険料で働けない期間だけ保障する就業不能保険の方が良いと感じます。
よって評価は「B」としました。
比較対象として以下を挙げておきます。
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●アクサ生命「アクサのネット完結働けないときの安心」。こちらは条件から外れれば給付ストップの就業不能保険です。上述のとおり保険料は激安。ハーフタイプという仕組みを選択すれば、さらに保険料が安くおさまります。
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まとめ
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