単なる入院や在宅療養は保障対象外で、障害等級認定されるような状況を保障する就業不能保険です。ケガや病気で治療している最中は保障されず、治療が終わって障害が遺った場合に保障が始まることが大半かと。
既に医療保険に加入していて、治療中の保障があるのなら選択肢になり得ますが、それにしても保険料が高い。
オーソドックスに入院・在宅療養・障害等級を保障する(そして保険料も安い)就業不能保険との比較は必須でしょう。
就業不能保険の選び方のポイントは↓のリンク先に書いています。
リンク先の内容を要約すると、選び方で大切なのは以下の4点です。
まずはざっと概要を書いておきます。上の4点について、朝日生命「収入サポート」の概要と評価は以下のとおりです。
項目 | 内容 | 評価 |
メンタル疾患の保障 | あり 条件:入院60日継続 給付期間:一時金 |
B |
障害等級 | あり 障害等級3級以上(手帳基準) |
A |
がん・脳血管疾患の保障内容 | あり 条件:①障害等級3級以上(手帳基準)②要介護1以上のいずれか |
C |
30歳の月額保険料 (保険金額毎月10万円・保障期間60歳まで) |
男性:4,464円 女性:3,732円 |
C |
40歳の月額保険料 (保険金額毎月10万円・保障期間60歳まで) |
男性:5,028円 女性:4,068円 |
メンタル疾患の保障条件は入院です。他社も入院を保障条件とすることが多い(通院治療だけだと保障対象外)ので、ここは平均的です。
障害等級の保障範囲は手帳基準で3級以上。詳細は後述しますが、他社は年金基準で2級以上が平均的なので、ここは他社と比較しても条件はゆるい(契約者に有利)です。この点はメリットでしょう。
ただし、単なる入院や在宅療養だけでは保障されないので、がんや脳血管疾患で治療を受けている期間に保障を受けられることは極々稀かと。治療が終わって症状が固定され、障害等級認定を受けて初めて保障されることが多いと感じます。
一般的な就業不能保険は入院・在宅療養といった治療を受けている期間中も保障がありますし、症状が固定して障害を負った場合にも保障が続きます。治療中に保障を受けられるか微妙という点は朝日生命「収入サポート」のデメリットでしょう。
保険料も他社と比較して高めです。
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朝日生命「収入サポート」の基本情報
まずは基本情報を一覧にしました。他の就業不能保険と比較する際の手掛かりにどうぞ。
保険の種類 | 【就業不能保険】 ・働けなくなるリスクに備える保険です。 ・貯蓄性はありません。支払った保険料は掛け捨てです。 ・保険料が値上がりすることはありません。 |
選択できる保険金額 (働けないときに受け取れる金額) |
50万円~600万円/年間 |
保険料を支払う期間 | 以下から選択可能。 歳満了:50歳まで、55歳まで、60歳まで、65歳まで 年満了:5年~22年間 |
保険料を支払う回数 | 月払・年払 |
保険料を支払う方法 | ・口座振替 ・クレジットカード払 |
保障される期間 | 保険料を支払っている期間のみ |
加入方法 | 対面のみ |
健康相談サービス | なし |
朝日生命「収入サポート」の働けないと認定される条件について。
死亡保障は亡くなったら保険金が支払われます。白黒ハッキリしていてわかりやすいですよね。それに対し、就業不能保険は「働けない」と認定される条件が生命保険各社バラバラです。
まずは就業不能保険で何よりも重要な「働けないと認定される条件」について書いておきます。
働けないと認定される条件について
項目 | 働けないと認定される条件 |
収入サポート保険 | ・障害等級1等級~3等級に認定された場合(手帳基準)。 ・要介護1以上に認定された場合。 |
保障条件は公的制度(障害等級・要介護認定)と連動しています。
障害等級は1級~3級まで保障対象。基準は身体障害者手帳です。
障害等級には「障害年金」と「障害者手帳」の2種類があります。ざっくり両者を説明すると以下のとおりです。
①障害者手帳の等級:地方自治体が提供している公的サービスの一環。身体障害の場合は1級から7級、精神障害の場合は1級から3級まであり、障害の程度によって等級が決まる(数値が低いほど程度が重い)。認定されると医療費助成や各種税金の軽減措置、公共交通機関での料金割引などを受けることができる(詳しくは厚生労働省のサイトを参照)。
②障害年金の等級:国の年金制度。1級から3級まであり、障害の程度によって等級が決まる(数値が低いほど程度が重い)。認定されると国から障害年金が給付される(詳しくは年金機構のサイトを参照)。
障害者手帳と障害年金は連動していません。申請も別々に行う必要がありますし、認定基準も異なります。障害者手帳だと3級で、障害年金だと2級といったこともあり得ます。
他社の就業不能保険は障害年金基準で2級以上を条件とすることが多いのですが、朝日生命「収入サポート」は障害者手帳基準で3級以上が条件。
どちらがいいかは微妙ですが、朝日生命基準の障害手帳3級の方が範囲が広いというのが個人的な感覚です。例えば人工弁の移植は手帳だと1級、年金だと3級。手帳基準の朝日生命だと保障対象ですが、年金基準の他社だと保障対象外になってしまいます。
また、手帳の方が申請は簡単です。区市町村に診断書を持参して申請し、1ヶ月半後くらいには結果が通知されます。
一方で、年金の方は受給要件が面倒だったり(年金保険料の未納がないかとか)、結果が通知されるまでに時間がかかったり(3ヶ月程度)といろいろ複雑。そして審査が厳しく、不服申し立てとなることもあります。
そんな点を加味すれば、朝日生命「収入サポート」の障害者手帳基準で3級以上という条件は他社よりも良いと感じます。この点はメリットと考えてよいでしょう。
また、条件に要介護1が含まれている点もメリットです。
「要介護なんてまだまだ先の話でしょ!」
と思ってしまいますが、40~64歳の方でも下記疾病が原因で条件を満たせば、要介護認定を受けることができます。
①がん(回復の見込みがない場合)
②関節リウマチ
③筋萎縮性側索硬化症(ALS)
④後縦靱帯骨化症
⑤骨折を伴う骨粗鬆症
⑥初老期における認知症
⑦進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患) ⑧脊髄小脳変性症
⑨脊柱管狭窄症
⑩早老症(ウェルナー症候群等)
⑪多系統萎縮症
⑫糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
⑬脳血管疾患(脳梗塞等)
⑭閉塞性動脈硬化症
⑮慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎等)
⑯両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
よくあるのが「⑬脳血管疾患(脳梗塞等)」です。重度の脳血管疾患で入院180日を超えてもリハビリが終わらない場合、要介護認定を受けて介護施設でリハビリを続けることがあります。
まあこの点もメリットは言えますが、やっぱり現役時代に要介護認定を受けることは極々稀です。大きなメリットではなく、ささいなメリットといったところでしょう。
逆に注意が必要なのが、条件に入院・在宅治療が含まれていない点。
例えば、アクサダイレクト生命「働けないときの安心」は、
①治療を目的とした入院
②医師の指示による在宅療養
③障害等級2級以上(年金基準)
を条件としています。これなら事故でケガをしてしまって長期間の入院となるケースや、がんで入退院を繰り返すケースも、働けない期間はきっちり保障されます。
一方で、朝日生命「収入サポート」だと治療中に保障を受けられるかは微妙です。治療が終わって症状が固定され、障害等級・要介護認定されるまでは何も保障されないことが大半かと。
障害等級や要介護は基本的には症状が固定されてから申請となり、働けなくなってから認定を受けるまではそれなりに時間がかかります。ケガや病気で働けなくなってから、障害等級・要介護認定されるまでの期間が保障されないという点は注意です。
メンタル疾患の働けないと認定される条件について(メンタル疾患特約)
項目 | 働けないと認定される条件 |
メンタル疾患特約 | ・入院が60日以上継続した場合。 |
メインの保障にメンタル疾患は含まれません。メインの保障で基準とするのは身体障害者手帳です。精神障害者保健福祉手帳ではありません。
メンタル疾患を保障対象とするには、メンタル疾患特約というオプションを付加する必要があります。メンタル疾患特約を付加すれば、働く世代によくある鬱病、パニック障害、統合失調症といったようなメンタル疾患で入院が60日以上継続した場合に一時金が給付されます。
メンタル疾患はこじらせると入院が長引きます。入院日数平均は以下のとおり。
統合失調症等:570.6日
気分(感情)障害:137.4日
(参考:生命保険文化センター)
60日以上継続入院は高いハードルに思えますが、メンタル疾患では珍しくありません。
まあでも他社と比較すると条件はやや厳しめかと。
ここもアクサダイレクト生命「働けないときの安心」を例に挙げると
①治療を目的とした入院
②障害等級2級以上(年金基準)
がメンタル疾患の保障条件です。入院が保障条件に含まれる点は朝日生命と同じですが、アクサダイレクト生命は障害等級も条件に加わります。
ただし、どちらも
「ちょっと会社を休んでゆっくりしましょうか」
と医師に診断され、会社を休んで自宅でゆっくりしながら通院治療を受ける程度の軽いメンタル疾患は保障対象外です。保障されるのは入院が必要だったり、障害等級認定されるような重症です。
まあこの点は就業不能保険の標準です。保障内容は悪くないので、仕事のプレッシャーがきつい方や、ちょっと凹みやすいといった方なら付加してもよいかと。
朝日生命「収入サポート」のメリット
収入サポート保険金が一度も給付されずに保障期間中に亡くなった場合、1年分の年金が給付されます。まあお葬式代といったところでしょう。
また、ずっと健康で収入サポート保険金を受け取ることなく満期を迎えた場合には、満了祝金として1年分の保障額の10%が給付されます。こちらは老後のお小遣いといったところ。
どちらもいわゆる「おまけ」です。就業不能保険は働けない期間を保障する保険なので、本来的には不要な保障です。
不要な保障は契約者が支払う保険料に跳ね返ります。実際、朝日生命「収入サポート」は保険料が高いです。こんなおまけを設けるくらいなら、保険料を安くすれば良かったのにと思います。
朝日生命「収入サポート」のデメリット
繰り返しますが、朝日生命「収入サポート」が保障するのは障害等級1級~3級・要介護1以上の場合で、入院・在宅療養は保障対象外。治療中が終わって症状が固定されて障害等級・要介護認定されてから保障が始まることが多いでしょう。ケガや病気で働けなくなってから障害等級・要介護認定されるまでの期間が保障されないという点は注意です。
また、保険料は他社と比較して安くはありません。
先ほどから例に挙げているアクサダイレクト生命「働けないときの安心」と月々の保険料を比較してみます。
朝日生命 | アクサダイレクト生命 | ||
就業不能の保障条件 | ①障害等級3等以上(手帳基準) ②要介護1以上 |
①治療を目的とした入院 ②医師の指示による在宅療養 ③障害等級2級以上(年金基準) |
|
メンタル疾患の保障条件 | ①60日以上継続入院 ※オプション ※一時金給付 |
①治療を目的とした入院 ②障害等級2級以上 ※月10万円を最大18回(18ヶ月)給付 |
|
その他の条件 | ・月10万円保障 ・保障期間60歳まで ・メンタル疾患特約100万円 ・死亡給付金120万円 ・満了祝金12万円 |
・月10万円保障 ・保障期間60歳まで ・免責期間60日 |
|
月額保険料 | 30歳男性 | 4,655円 | 2,200円 |
30歳女性 | 3,930円 | 1,870円 | |
40歳男性 | 5,243円 | 2,640円 | |
40歳女性 | 4,283円 | 2,320円 |
保障条件の差があるので参考程度とはなりますが、同じ月10万円保障で保険料は朝日生命の方が倍くらい高いです。死亡給付金・満了祝金があるとしても、朝日生命はちょっと高いなという印象。
もうひとつ比較してみます。
FWD生命「FWD収入保障」はベースが亡くなった場合を保障する収入保障保険ですが、オプションを追加すれば働けなくなるリスクにも対応できます。FWD生命にはメンタル疾患の保障がないので、朝日生命もメンタル疾患特約を外して保険料を比較してみます。
朝日生命 | FWD生命 | ||
就業不能の保障条件 | ①障害等級3等以上(手帳基準) ②要介護1以上 |
①障害等級4等級以上(手帳基準) ②要介護1以上 ③高度障害状態 |
|
死亡保障 | 給付額1年間分 | 保障期間終了まで給付 | |
その他の条件 | ・月10万円保障 ・保障期間65歳まで ・満了祝金12万円 |
・月10万円保障 ・保障期間65歳まで |
|
月額保険料 | 30歳男性 | 5,484円 | 3,858円 ※健康体割引適用時 |
30歳女性 | 4,488円 | 2,997円 ※健康体割引適用時 | |
40歳男性 | 6,144円 | 4,503円 ※健康体割引適用時 | |
40歳女性 | 4,836円 | 3,645円 ※健康体割引適用時 |
保障内容は、太字にした障害等級の広さと死亡保障の手厚さでFWD生命にアドバンテージがあると感じます。
それでいて、保険料はFWD生命の方が安いという結果です。
朝日生命「収入サポート」の評価
評価:C(S、A~C)
朝日生命「収入サポート」が保障するのは障害等級1級~3級・要介護1以上の場合のみで、入院・在宅療養中は保障対象外。治療中は保障されず、症状が固定されて障害等級・要介護認定されてから保障が始まることが多いでしょう。一般的な就業不能保険は治療中から保障が始まります。
既に医療保険に加入していて、治療中の保障が万全であれば候補に入るかと感じますが、それにしても保険料が高いです。選ぶ理由が見当たらないというのが正直な感想です。
よって評価は「C」としました。
就業不能保障という観点ならアクサダイレクト生命「働けないときの安心」、もしくはライフネット生命「働く人への保険3」と比較しておいた方が良いでしょう。この2社なら保障条件はトップクラスで、保険料も業界最安値水準です。
障害等級と要介護の保障を重視したい方はFWD生命「FWD収入保障」を要チェックです。死亡保障を検討されている方にとっても一石二鳥になります。
就業不能保険は下記リンク先で比較しています。こちらもご参考に。
朝日生命「収入サポート」の相談をするなら。
朝日生命「収入サポート」は全国の保険ショップで取り扱ってます。しかし、朝日生命は控えめな生命保険会社なので、取り扱っている保険ショップは少ないです。
いざ保険ショップに行ってみて、
「あー、すいません、うち朝日生命やってないんですよ」
なんて言われたら立ち直れないですよね。そんなことにならないためにも、事前に最寄の保険ショップが朝日生命を取り扱っているか確認しておきましょう。
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保険金の不払い率をこちらにまとめていますが、不払いとなる理由の多くは
- 契約時の告知事項に不備があった。
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の2点。
1点目は保険を契約する際に生命保険会社へ知らせた告知事項(過去の病歴とか現在の健康状況とか職業等)に誤りがあったケースで、これは保険ショップのスタッフが契約時にしっかり説明すれば回避できます。保険クリニックでしっかり説明を受けて契約すれば、まず該当することはないかと。
また、2点目はそもそも保険会社に保険金を支払う責任がないケースですが、医療保険やがん保険や就業不能保険には責任分界点が微妙なグレーゾーンが存在します。微妙なグレーゾーンでキーになるのが医師が書く診断書。診断書の表現ひとつで保障されないこともあります。
そんなときに、
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まとめ
公式サイト:朝日生命「収入サポート」
手帳基準で障害等級3級以上と要介護1以上が保障対象となる点は平均を上回る保障範囲の広さですが、保険料が高い…。そして入院・在宅療養が保障対象となっていないので、保障に空白期間が生じるという不安要素もあります。
他社の就業不能保険との比較は必須でしょう。アクサダイレクト生命「働けないときの安心」、もしくはライフネット生命「働く人への保険3」なら入院・在宅療養が保障対象ですし、障害等級も保障条件に含まれます。保険料も業界最安値水準です。
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※2023年3月更新