生命保険を選ぶ前に知っておきたい遺族年金。

生命保険に入る前に知っておくべきこと。それは公的な社会保険制度です。

まずは国が何をしてくれるかを知ること。足りない部分を民間の生命保険・医療保険でカバーするのが基本的な考え方です。

一家の大黒柱が亡くなることを考えると、とても不安ですよね。

残された家族の生活費、子供の学費、配偶者の老後資金。万が一のことが起こったとき、全く足りない!なんて途方に暮れてしまうかもしれません。

マスコミは日本の社会保険制度を叩きまくってますけど、意外と手厚いんですよ。せっかく社会保険料やら税金やら給料天引きで取られてるんですから、使い倒さないと損ですよね。

ただし、これから述べるのは今現在の内容です。未来のことは誰にもわかりませんが、今後も同水準の社会保険を持続させることは難しいという前提に立って生命保険・医療保険を考えたほうがいいでしょう。

徐々に国を頼れなくなっていく中で、民間の生命保険・医療保険がカバーする部分を手厚くしていく必要があるのだと思います。

【遺族年金】国民年金・厚生年金の加入者が亡くなった際、残された家族に支給される年金。

遺族年金とは国民年金または厚生年金保険の被保険者が亡くなったとき、その家族(配偶者と18歳以下の子供)に支給される年金です。

遺族年金には以下の2種類があります。

  • 遺族基礎年金
  • 遺族厚生年金

自営業やフリーランスの方なら遺族基礎年金のみ加入されているかもしれません。

会社員の方なら、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方に加入されているはずです。

しかしまぁ、どちらも年金だけあって支給条件と支給額は複雑です。

ここに書くのは一般的なケースですので、最寄の年金機構へ訪れてご自分のケースがどうなるか聞いてみるのがいいと思います。
(生命保険加入前には絶対聞いておいた方がいいです)

遺族年金の支給要件

遺族基礎年金 被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が亡くなったとき。(ただし、亡くなった者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が加入期間の3分の2以上あること。)
遺族厚生年金
  1. 被保険者が亡くなったとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に亡くなったとき。(ただし、遺族基礎年金と同様、亡くなった者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が国民年金加入期間の3分の2以上あること。)
    ※ただし平成38年4月1日前の場合は亡くなった日に65歳未満であれば、亡くなった日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。
  2. 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が亡くなったとき。
  3. 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が亡くなったとき。

読んでもよくわかりませんね。読む気すらなくなります。

ざっくり言うと、25年間年金を納めてないと遺族基礎年金・遺族厚生年金は支給されません。

20歳から年金を納めてきたとしても、支給されるのは45歳からです。40代のみなさんだと、まだ支給要件を満たしていない方も多いと思います。

こ、これは、なんとしても45歳まで生き延びないとです…。

遺族年金は誰に対して支給されるのか。

遺族基礎年金 亡くなった者によって生計を維持されていた、
(1)子のある配偶者 (2)子
※子とは次の者に限ります
・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
・20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
遺族厚生年金 亡くなった者によって生計を維持されていた、
・妻
・子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)
・55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できる。)
※30歳未満の子のない妻は、5年間の有期給付となります。
※子のある配偶者、子(子とは18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の障害者に限ります)は、遺族基礎年金も併せて受けられます。

読む気がなくなりますねー。

・配偶者に対して支給される(子供がいない場合は遺族基礎年金が支給されない)。
・高校3年生以下の子供に対して支給される。

ひとまず、こういうふうに考えておけばいいと思います。

遺族年金はいくら支給されるのか。

もっとも気になる支給額ですが、これが複雑です。複雑過ぎるので概算でしか出せません。

遺族基礎年金 779,300円+子の加算

子の加算 第1子・第2子 各 224,300円
第3子以降 各 74,800円
(注)子が遺族基礎年金を受給する場合の加算は第2子以降について行い、子1人あたりの年金額は、上記による年金額を子供の数で除した額。

遺族厚生年金 亡くなるまでの納めていた年金保険料によって異なります。

概ね、厚生老齢年金額の3/4が目安です。

厚生老齢年金額は毎年送られてくる「ねんきん定期便」で確認してください。

貴族基礎年金はわかりやすいんですけどね。遺族厚生年金は複雑な計算式があるので、年金機構に問い合わせるのが最も確実です。

イメージを持って頂くために、僕のケースを例にしますね。

例えば、僕がいま亡くなったとすると、遺族には毎年以下の金額が支給されます。

遺族基礎年金:779,300円+224,300円×2人=1,227,900円

遺族厚生年金:495,000円(僕の現在の厚生老齢年金額)×3/4=371,250円

合計:1,227,900円+371,250円=1,599,150円

概ね年間160万円。毎月約13万円が支給される計算です。

厚生老齢年金額は毎年郵送される「ねんきん定期便」に書かれています。僕は495,000円でした。

ちなみに、支給要件を満たしていない(年金20年しか払ってない)ので、いま僕が亡くなっても遺族年金はもらえません。

子供がいない配偶者が遺族基礎年金をもらえないのは可哀想過ぎる件について。

遺族基礎年金は子供がいない配偶者に支給されません。

これはちょっと可哀想過ぎるということでできたのが、中高年齢寡婦加算です。

遺族基礎年金は子どものいない妻には支給されませんし、子がいてもその子が18歳(18歳の誕生日の属する年度末まで)または20歳(1級・2級の障害の子)に達すれば支給されなくなりますが、夫が死亡したときに40歳以上で子のない妻(夫の死亡後40歳に達した当時、子がいた妻も含む)が受ける遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまでの間、中高齢の寡婦加算(定額)が加算されます。

引用:日本年金機構

子供がいない奥さんに対しては40歳から65歳までの間、寡婦加算が定額で支給されます。
(65歳以降は老齢年金が支給されるので、切れ目はないです)

寡婦加算の金額は毎年変わります。平成30年度は年額584,500円。結構な額ですよね。

ちなみに、40歳未満の妻には寡婦加算はされません。

まとめ 年金はちゃんと払っておきましょう。

複雑過ぎてよくわからない遺族年金。まとめるとこんな感じでしょうか。

亡くなった人 支給される人 支給される年金の種類
自営業・フリーランス 18歳未満の子のある妻 遺族基礎年金
子の無い妻 寡婦年金
会社員・公務員 18歳未満の子のある妻 遺族基礎年金
遺族厚生年金
子の無い妻
(40歳未満)
遺族厚生年金
子の無い妻
(40歳〜65歳)
遺族厚生年金
中高年齢寡婦加算

自営業・フリーランスの方はちょっと薄いですよね。

しかし、全般的に遺族年金は支給額がちょっと少ないです。家族が普通に生活するだけでも足りません。ましてや、子供の学費なんて…。

子供が小さいうちは民間の生命保険を頼りにした方がよいかもしれないですね。

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