東京海上日動あんしん生命が2022年2月に発売した「あんしんがん治療保険」。
大きな特徴は、がん特定治療保障特約というオプションを付加すれば自由診療(全額自己負担)の治療費実費が上限1億円で保障される点です。
自由診療には欧米では承認されているものの、日本では承認が遅れている抗がん剤なんかが含まれますが、こんな抗がん剤は月の治療費が100万円を超える場合もあります。これが全額自己負担はなかなかつらい…。
それを上限1億円で実費保障です。この点は突出していますが、それ以外の保障内容はややイマイチ。全般的には他社のがん保険と比較しておいて損はないでしょう。
がん保険は大きく3つのタイプに分けることができます。
①入院ベースで保障するがん保険。よくある「入院1日1万円!」といった保障内容のがん保険です。入院日数×入院給付金(5千円とか1万円)を受け取ることができます。
②一時金ベースで保障するがん保険。がんと診断されたらまとまった金額(100万円とか)がドンっと給付されるがん保険です。
③治療ベースで保障するがん保険。手術・抗がん剤・放射線といったがんの治療を受けた月に定額(10万円とか)が給付されるがん保険です。
東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」は「③治療ベースで保障するがん保険」です。最近はがんの入院が短期化しているので①はやや時代遅れ。主流は②と③です。東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」は時代の流れに即したがん保険です。
がん保険の選び方のポイントは↓のリンク先に書いています。
リンク先の内容を要約すると、選び方で大切なのは以下の3点です。
まずはざっと概要を書いておきます。上記3点について、東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」の概要と評価は以下のとおりです。
項目 | 内容 | 評価 |
先進医療の保障内容 | タイプ:10年更新型 保障額上限:2,000万円 一時金:なし |
B |
がん診断一時金の給付条件 | 給付回数:無制限 給付間隔:2年に1回 給付条件:1回目は診断確定、2回目以降は再発・転移・新たに診断確定 |
C |
抗がん剤治療の保障範囲 | 給付回数:60回 自由診療となる抗がん剤治療を含む(上限1億円保障) |
A |
30歳の月額保険料 (主契約月10万円) |
男性:1,700円 女性:1,630円 |
B |
40歳の月額保険料 (主契約月10万円) |
男性:2,000円 女性:1,740円 |
他社の先進医療特約は保険料が一生涯変わらない終身型であることが多いのですが、東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」は10年ごとに保険料が更新される10年更新型です。
現在はメジャーと言えない先進医療ですが、将来的に普及すれば先進医療特約の特約保険料が爆上げされる可能性もあります。10年ごとに保険料が更新される点はデメリットでしょう。
一時金もイマイチ。他社の給付間隔が1年に1回なのに対して、東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」は2年に1回です。がんは2年以内に再発・転移する可能性も十分あります。この点もデメリット。
また、2回目以降は元々のがんが再発・転移した場合か、新たにがんと診断された場合のみ一時金が給付されます。元々のがんを継続治療している場合は給付対象外。
まあ給付間隔が2年に1回なので、2年も同じがんを治療し続けるケースも多くはありませんが、それでも最近のがん保険は
「継続治療でも再発でも転移でも、がんの治療を受けていれば1年に1回お支払い!」
が主流です。この点も東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」のデメリットでしょう。
冒頭書いたとおり、抗がん剤治療の保障対象には全額自己負担の自由診療が含まれます。保障額の上限は驚異の1億円。冒頭書いたとおり、自由診療の抗がん剤は月100万円を超えることもあります。この点はメリットです。
一方で、健康保険が適用される抗がん剤治療の保障回数上限は60回(60ヶ月)。抗がん剤を60ヶ月も打つことは極々稀ですが、乳がん再発予防のホルモン剤治療は5年から10年の長期に及ぶことがあります。60回上限はやや不安が残ります。
保険料も決して業界最安値クラスではありません。東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」はがん特定治療保障特約の一点豪華主義です。がん特定治療保障特約だけ異様に優れたがん保険です。
がん保険の相談は保険クリニックで!
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東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」の保障内容を評価します。
冒頭のところで先進医療特約・がん一時金・抗がん剤治療保障について書きましたが、その他の特約(オプション)を含め、もう少し詳しく見ていきます。
【主契約】手術・放射線治療給付金、抗がん剤治療・緩和療養給付金
給付金 | 給付条件 | 給付間隔 | 給付額 |
手術・放射線治療給付金 | ・公的医療保険制度の対象となる所定の手術、放射線治療を受けたとき。 | 月1回 (回数無制限) |
5万円~30万円の範囲で選択可能。 |
抗がん剤治療・緩和療養給付金 | ・公的医療保険制度の対象となる所定の抗がん剤治療を受けたとき。 ・公的医療保険制度の対象となる所定の緩和療養を受けたとき。 |
月1回 (最大60回) |
がんの3大治療は
- 手術
- 放射線治療
- 抗がん剤治療
と言われてますが、その3大治療を受けた月に定額が給付されます。
さらに、緩和療養を受けた月にも定額給付。緩和療養とは、がんの痛みを和らげる治療です(モルヒネとか)。最近は治療の初期から緩和療養を受けることが増えてきていますが、主に使われるのは手の施しようのなくなった末期です。
助かる見込みがなくなった末期となれば3大治療を受けることもなくなるので、緩和療養が保障対象外だとがん保険の保障が切れます。緩和療養も長いと半年くらい続くこともあるので、この点は安心でしょう。
気になるのは抗がん剤治療・緩和療養給付金の保障上限が60回である点。
一生涯で抗がん剤治療や緩和療養を60回(60ヶ月)受けることは極々稀ですが、乳がん再発予防のためのホルモン剤治療は5年から10年の長期に渡ることがあります。上限60回では治療の途中で保障が切れることもあるでしょう。
最近のがん保険の標準は上限120回or無制限保障です。女性は要注意です。
【重要です】がん特定治療保障特約
患者申出療養・評価療養・自由診療を受けたときに治療費実費を上限1億円で保障するオプションです。
患者申出療養とは、患者からの申出を起点として、健康保険が適用されない治療を受けられる制度です。
「どうにもならないので〇〇〇という治療を受けさせてください!」
と国に申請して、認められれば入院料・診察料等に健康保険が適用されて3割負担となりますが、技術料そのものは10割負担。かなり高額に上ることもあります。
評価療養とは、厚生労働省が指定した健康保険の対象とするべきか評価する段階の治療を指します。こちらも技術料以外の入院料・診察料等には健康保険が適用されて3割負担。しかし技術料は10割負担です。
自由診療は健康保険が全く適用されません。欧米では承認されているものの、日本では承認が遅れているような治療なんかが自由診療に含まれますが、技術料もその他の費用も10割負担。
ということで、患者申出療養・評価療養・自由診療を受けるとけっこうな金額を請求されます。国立がん研究センターが2021年10月時点の未承認・適応外の医薬品を下記リンク先にまとめてますが、月100万円かかる抗がん剤なんてざらにあります。
→国内で薬機法上未承認・適応外となる医薬品・適応のリスト(2021年10月31日改訂版)(PDF)
こんな患者申出療養・評価療養・自由診療の治療費を1億円上限で実費保障するのが本特約です。他社のがん保険にも自由診療の抗がん剤治療を保障するオプションがありますが、保障額は月20万円程度。上限1億円は桁違いの保障内容です。
驚くべきなのが全ての年代が月500円で本特約を付加できる点。
自由診療を実費補償するがん保険にセコム損保「自由診療保険メディコム」があります。東京海上日動あんしん生命が1億円上限なのに対し、セコム損保は無制限補償。上限1億円も無制限補償も同じようなものですが、保険料は東京海上日動あんしん生命の方が激安です。月500円はかなり思い切ってるなあという印象です。
ただし、本特約は5年更新型です。5年ごとに保険料が見直されます。
現状は月500円で付加できますが、将来的に自由診療が普及して、
「いやー、もう月500円では無理だ!」
と、東京海上日動あんしん生命がギブアップして値上げする可能性もあります。
まあでも値上げしたらそのときにオプション解約すればよいだけ。いま東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」に加入するのなら、付加しておくべきオプションでしょう。
ちなみに、患者申出療養・評価療養はまだまだマイナーですが、自由診療を用いられるケースは増えつつあります。他社の調査では、がん罹患者・がん罹患経験者の19.8%が自由診療を提案されたというアンケート結果が公表されています(実際に受けた方は11.7%)。
【重要ですが…】がん先進医療特約
給付額 | 給付条件 |
先進医療の技術料実費(保障期間通算で2,000万円まで保障) | 先進医療を受けた場合。 |
先進医療とは、厚生労働省が指定した公的医療保険の対象にするかを評価する段階にある治療・手術を指します。健康保険が適用されないので技術料は全額自己負担(入院費や診察費等は健康保険が適用されて3割負担)。なので、先進医療を受けると高額な医療費を請求されることもありますが、その技術料実費を2,000万円上限で保障してくれるのが先進医療特約です。
例えば、先進医療のひとつである重粒子線治療は放射線治療の進化版。がん細胞に対する効果が通常の放射線治療の2~3倍ほど高く、治療期間も短くすることができると言われています。
重粒子線治療はその効果が認められ、保険適用となる疾患が順次拡大されています。2016年には小児がん、2018年には前立腺がんと頭頚部がん、そして2022年4月には肝細胞がん(長径4㎝以上)・肝内胆管がん・膵がん・大腸がんの骨盤内再発・子宮がんに保険が適用されるようになりました。
しかし、それ以外のがん治療に用いる場合はまだ先進医療扱い。治療費は約300万円かかるのですが、この300万円を保障するのが先進医療特約です。
先進医療には重粒子線治療以外にも様々な治療があります。先進医療特約を付加しておけば、保険適用を待つこともなく(お金を気にせず)治療を受けることができます。保険適用を待ってる間に手遅れになってしまった!なんていう最悪の事態を避けられます。
他社のがん保険にも先進医療特約がありますが、その他社と比較するとやや劣勢です。ポイントは以下の2点。
- 【BAD】一時金がない。
- 【BAD】終身型ではなく10年更新型。
先進医療を対応できる病院は限られているため、遠方に移動することもあり得ます(上述した重粒子線治療を受けられる病院は2023年10月時点で全国7ヶ所のみ)。その場合の交通費や宿泊費をカバーするために、他社のがん保険は一時金として10万円程度給付してくれることが多いです。この点はちょっと残念。
また、東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」のがん先進医療特約は終身型ではありません。10年更新型です。
終身型…一生涯保険料が変わらない。
10年更新型…10年ごとに契約が更新される。
他社の先進医療特約は一生涯保険料が変わらない終身型が多いのですが、東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」の先進医療特約は10年更新型です。10年ごとに契約が更新されます(保険料は上がることが多い)。
現状は月100円程度で先進医療特約を付加できますが、将来的に先進医療が普及すると特約保険料が爆上げされる可能性もあります。安心なのは一生涯保険料が変わらない終身型。この点も東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」のデメリットでしょう。
【重要ですが…】がん診断特約
給付額 | 給付条件 | 給付間隔 | 上皮内がん |
10万円~300万円の範囲で選択可能 | 1回目:初めてがんと診断確定されたとき 2回目以降:再発・転移したとき。または、悪性新生物が新たに生じたと診断確定されたとき |
2年に1回 (給付回数無制限) |
給付対象 (ただし給付回数は1回のみ) |
がんと診断された場合に一時金が給付される特約です。治療の早い段階でまとまった金額(100万円とか)を受け取れるので、
「がん保険、入っておいてよかった…」
と分かりやすく実感できるのが、こちらのがん診断特約。働けなくなった場合の生活費補填、がんの医療費、入院中の諸費用等、様々な用途に使える便利な一時金です。
特にがん診断特約が役立つのは、がんが失業につながりやすい非正規雇用の方やブラック企業に勤務されている方。
東京女子医大の調査ではがんと診断されてから、フルタイムで復職できるまでの期間平均が205日(時短勤務を含めると80日)だそうですが、時短勤務制度もないし、205日も勤務先が待ってくれないという場合は、がんと失業のWパンチを食らうこともあるでしょう(実際多いです)。
そんなときに100万円を銀行口座に振り込んでくれるのががん診断特約です。生活を破綻させないために必要な特約です。
ただし、保障内容はイマイチ。他社と比較すると周回遅れの感があります。
以下、ポイントです。
- 【BAD】2回目以降の給付条件が厳しい。
- 【BAD】給付間隔が2年に1回。他社のがん保険は1年に1回もあり。
- 【BAD】上皮内がんの場合は給付が1回のみ。
一時金特約は他社のがん保険にもありますが、注意が必要なのは2回目以降の給付条件です。再発と転移を繰り返し、長期闘病となることが多いがんは、2回目以降の給付条件が重要です。
その2回目以降の給付条件が東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」はイマイチ。冒頭書いたとおり、最近のがん保険は
「継続治療でも再発でも転移でも、がんの治療を受けていれば1年に1回一時金をお支払いします!」
が主流ですが、東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」は治療を受けていれば必ず給付されるわけではありません。一時金が支払われたがんを継続治療している場合は給付対象外。給付対象になるのは、治療が終わった後に再発や転移が見つかったり、新たにがんと診断された場合のみ。
また、給付間隔も2年に1回。2年以内にがん再発なんてよくあることですが、再発しても一時金が給付されるまで2年待つことになります。働けないときの収入補填に一時金を使うにも、2年に1回は厳しいです。
上記のとおり、最近のがん保険は1年に1回が当たり前です。この点もデメリットでしょう。
また、上皮内がんの場合は給付回数が1回のみです。
上皮内がんとは、がん細胞が血管やリンパ管に到達していない初期のがんを指します。がん細胞は血管やリンパ管で運ばれて転移していくので、上皮内がんの段階でサッと手術で切り取れば再発や転移する可能性は低いと言われてます。
まあ上皮内がんと診断されるのが一生涯に一度だけならこの点はデメリットにとは言えませんが、そんなことは分からないですよね。大腸がんだと2割、子宮頸がんだと半数以上が上皮内がんで発見されたというデータもあり、上皮内がんは珍しくもなんともありません。この点もデメリットです。
【重要ではありません】悪性新生物初回診断特約
給付額 | 給付条件 | 保障期間 | 上皮内がん |
10万円~300万円の範囲で選択可能 | 初めてがんと診断されたとき | 1回のみ | 給付対象外 |
初めてがんと診断されたときに一時金が給付される特約です。
上述したがん診断特約が回数無制限で給付されるのに対し、こちらは初回の1回だけ。
確かに初めてのがんは効率的に動けなくて余計な費用がかかることもありますが、より重症化して医療費が膨らむのは再発時です。悪性新生物初回診断特約を付加するのなら、がん診断特約の保障額を上げた方がよいと感じます。
【重要ではありません】抗がん剤治療特約
給付額 | 給付条件 | 上皮内がん |
5万円または10万円から選択 | 公的医療保険制度の対象の抗がん剤治療を受けたとき(60回限度) | 給付対象 |
抗がん剤治療を受けた月に定額が給付される特約です。主契約で抗がん剤治療が保障されるので、あえて付加する必要性は薄いでしょう。
ちなみにですが、抗がん剤治療が必要になるケースは大きく2パターンあります。
- 手術でがんを切除できて、再発予防するための抗がん剤治療。
- 手術でがんを切除できず、進行を遅らせるための抗がん剤治療。
1のケースはあっさりと抗がん剤治療は終了します。働きながら抗がん剤治療を受けることも不可能ではありません。本当に怖いのは2のケースです。
2のケースは、
短期入院or通院で抗がん剤を打つ→3週間程度自宅療養
を繰り返す「抗がん剤ドロ沼」にハマります。こうなると治療に終わりが見えなくなりますし、副作用が辛くて満足に働くことも難しくなり、
「あ、これ、やばいかも」
と、預金額が減っていく銀行口座を眺めながら途方に暮れるのがこのケースです。
なので、抗がん剤治療保障は割と重要なのですが、上述したがん先進医療特約と同じく抗がん剤治療特約も10年更新型なんですよね。他社のがん保険は保険料が一生涯上がらない終身型であることが多く、この点はデメリットです。
まあでも主契約の保障額を高額療養費制度で決められる自己負担額の上限に設定しておけば、必要性は薄いでしょう。
【重要ではありませんが…】がん入院特約
給付額 | 給付条件 | 支払回数 | 上皮内がん |
3千円~3万円の範囲で選択可能 | がんで入院した場合 | 無制限 | 給付対象 |
入院1日に対して定額給付する特約です。
がんの治療は入院が短期化し、その分自宅療養をしながらの通院が長引く傾向にあります。入院日数の平均は以下のとおりです。
胃の悪性新生物:22.3日
結腸及び直腸の悪性新生物:16.4
肝及び肝内胆管の悪性新生物:20.8日
気管、気管支及び肺の悪性新生物:21.1日
(参考:生命保険文化センター)
がん系の入院は平均20日程度で退院できます。意外と短いですよね。
とはいってもこれは平均です。入院が長期化する可能性はゼロではありません。
可能性は低いけれど、発生したら致命的なリスクに備えることに保険の役割があるとすれば、長期入院の保障は重要です。余裕があれば付加しても良い特約です。
【重要ではありません】がん通院特約
給付額 | 給付条件 | 保障期間 | 上皮内がん |
3千円~2万円の範囲で選択可能 | 所定の通院をしたとき。 | 主契約の支払対象となった前々月の初日から、1年後の応当月の末日に通院 | 給付対象 |
がんでの通院1日あたりに定額が給付される特約です。
上述のとおり最近のがん治療は入院が短期化していて、代わりに通院で治療するケースが増えてきています。
しかし、通院保障は1日5,000円程度。たいした保障額ではないので、
「保険金請求の手続きするほうがめんどくさい!」
ということがけっこうあります。そこまで重要ではないかなと。
【重要ではありません】がん手術特約
給付額 | 給付条件 | 上皮内がん |
5万円~30万円の範囲で選択可能 | 所定の手術・放射線治療を受けたとき。 | 給付対象 |
がんの手術・放射線治療を受けた際に定額給付されるオプションです。
抗がん剤治療特約と同じく、主契約で手術・放射線治療は保障されます。必要性は薄いでしょう。
【重要ではありません】悪性新生物保険料払込免除特則
よくCMでみる「以降の保険料は頂きません!」という特約です。
がんと診断された場合に、以降の保険料支払いが免除されるのですが、そもそもがん保険の保険料は安いため、保険料の支払いが免除されても家計への影響は大きくないでしょう。
もちろん本特約は有料オプションなので付加すると月々の保険料がググっと上がります。必要性は薄いかなと。
【シミュレーション】僕が「あんしんがん治療保険」に入るなら。
僕が東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」に入るなら、以下の保障内容にします。
- 主契約:10万円
- 特約:がん特定治療保障特約、がん先進医療特約
このシミュレーションで40歳男性の保険料が月3,373円、40歳女性だと月4,103円です。
高額療養費制度を利用すれば、僕の収入なら月の医療費が10万円を超えることはありません。なので、主契約は月10万円を設定。あとは健康保険が適用されない治療に備えるためにがん特定治療保障特約、がん先進医療特約を付加しておきます。
入院時の諸費用や、働けなくなった場合の収入補填に備えてがん診断特約も付加しておきたいのですが、保障内容がイマイチなので見送ります。この点は不安が残ります。
東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」のデメリット
1点目から3点目は上述のとおりです。繰り返しますが、がん診断特約は
- 2回目以降の給付条件が厳しい。
- 給付間隔が2年に1回。他社のがん保険は1年に1回もあり。
- 上皮内がんの場合は給付が1回のみ。
といったデメリットがあります。他社と比較すると周回遅れの感があります。
主契約の抗がん剤治療保障が上限60回(60ヶ月)である点も不安が残ります。乳がん再発予防のためのホルモン剤治療は5年から10年に及ぶことがあるので、女性は要注意です。
また、がん先進医療特約が10年更新型である点もデメリットです。現在は100円程度で付加できる先進医療特約ですが、将来的に先進医療が普及した場合は保険料が爆上げされることも予想されます。他社の終身型の方が安心感はあります。
最後に、保険料も安くはありません。
がん保険の保険料は下記リンク先で比較していますが、「一時金100万円+治療月10万円」の保障内容であれば男性ならSOMPOひまわり生命「勇気のお守り」(治療給付型)、女性ならなないろ生命「なないろがん治療保険極」の方が安くなることが多いでしょう。
保険料の観点でも東京海上日動あんしん生命は劣勢です。
東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」のメリット
冒頭書いたとおり、東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」はがん特定治療保障特約の一点豪華主義です。がん特定治療保障特約はやたらと優れています。
他社にも自由診療を保障する特約がありますが、
「自由診療の抗がん剤治療を受けた月に20万円お支払い!」
といった定額保障です。月1,000万円の抗がん剤を打つことになったのに、20万円なんて焼け石に水。その点、上限1億円で実費保障は率直に素晴らしいと感じます。
また、がん特定治療保障特約は月500円で付加できます(2022年7月現在)。5年更新型なので、将来的に保険料が上がる可能性はありますが、保障内容に見合わないほど上がった場合はオプション解約すればよいだけ。
現状、東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」に加入するのなら、
主契約+がん特定治療保障特約+がん先進医療特約
という組み合わせで、健康保険が適用される治療にも、健康保険が適用されない治療にも備えられるかと。お金があれば救える命を救えるがん保険ですね。
ただし、2023年12月にメットライフ生命から発売された「ガードネクスト」にも、同じく自由診療を1億円上限で保障するオプションがあります。ガードネクストは自由診療以外の保障も良くまとまってますし、保険料もそこまで高くはありません(特に非喫煙者)。東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」を検討されているのなら、メットライフ生命「ガードネクスト」との比較は必須です。
東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」の評価。
評価:B(S、A~Cで判定)
がん特定治療保障特約は特筆すべき保障内容です。保障額上限1億円で保険料月500円は率直に素晴らしいです。
繰り返しますが、
主契約+がん特定治療保障特約+がん先進医療特約
という組み合わせなら、健康保険が適用される治療にも、健康保険が適用されない治療にも備えられるかと感じます(がん特定治療保障特約とがん先進医療特約が終身型ではないので、将来的に保険料がどれくらい上がるか不透明なところはありますが…)。
しかし、その他のオプションが他社と比較して周回遅れの感があります。がん診断特約の保障内容はイマイチですし、がん先進医療特約が10年更新型である点も厳しい。そして、保険料も決して安くはなく。
全体的に見れば、がん特定治療保障特約の優れている点を、その他のオプションの保障内容と保険料でチャラにしてるように感じます。よって評価は「B」としました。悪くはありませんが、他社との比較もしておいたほうがよいでしょう。
比較対象として以下を挙げておきます。
●メットライフ生命「ガードネクスト」。東京海上日動あんしん生命と同じく、自由診療を1億円上限で保障するオプションを付加できます。その他の保障も優秀ですし、非喫煙者は保険料が割引されます。
●セコム損保「自由診療保険メディコム」。治療費の実費を無制限補償です。もちろん自由診療でも治療費を無制限補償。5年更新型なのでトータルの保険料は高くなりますが、若い方が期間限定で入るのならおすすめ。
自由診療に大きなこだわりがないのであれば、男性ならSOMPOひまわり生命「勇気のお守り」(治療給付型)、女性ならなないろ生命「なないろがん治療保険極」も候補に入ります。こちらの2社は保険料も安くて保障内容も秀逸です。
がん保険全般の比較は下記リンク先でやってます。こちらもご参考に。
東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」の相談をするなら。
東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」は全国の保険ショップで取り扱ってます。東京海上日動あんしん生命と提携している保険ショップは数多くあるので、最寄りの保険ショップでも相談できるはず。
しかし、いざ保険ショップに行ってみて、
「あー、すいません、うち、東京海上日動あんしん生命やってないんですよー」
なんて言われることのないように、事前に最寄の保険ショップが東京海上日動あんしん生命と提携しているか確認しておきましょう。
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1点目は保険を契約する際に生命保険会社へ知らせた告知事項(過去の病歴とか現在の健康状況とか職業等)に誤りがあったケースで、これは保険ショップのスタッフが契約時にしっかり説明すれば回避できます。保険クリニックでしっかり説明を受けて契約すれば、まず該当することはないかと。
また、2点目はそもそも保険会社に保険金を支払う責任がないケースですが、医療保険やがん保険には責任分界点が微妙なグレーゾーンが存在します。微妙なグレーゾーンでキーになるのが医師が書く診断書。診断書の表現ひとつで保障されないこともあります。
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しかも、無料で相談したからといって、提案された保険に必ず入らなければならないということはありません。提案内容に納得できなければ、
「うーん、よく考えてみます…」
と、やんわりお断りしてOKです(お断りする人はかなりいます)。
相談しているときに過度な勧誘もなければ、お断りした後にしつこい電話攻勢というのもありません。最近は過度な勧誘やしつこい電話は法律で禁止されています。そんなことしたら業務停止です。
生命保険の相談は気軽な気持ちで。重く考える必要はありません!
まとめ
公式サイト:東京海上日動あんしん生命「あんしんがん治療保険」
がん特定治療保障特約は素晴らしいです。大々的にアピールされてる
- 保障上限1億円
- 月500円で付加可能
という2点は特筆すべき保障内容です。
しかし、その他の保障内容には注意点があります。他社と比較すると周回遅れの感があります。がん診断特約の保障内容はイマイチですし、がん先進医療特約は10年更新型。
保険料も決して業界最安値クラスではなく、全体的に見れば、他社のがん保険と比較はしておいて損はないと感じます。上述のとおり、メットライフ生命「ガードネクスト」、セコム損保「自由診療保険メディコム」あたりと比較しておいて損はありません。
また、自由診療に大きなこだわりがないのであれば、男性ならSOMPOひまわり生命「勇気のお守り」(治療給付型)、女性ならなないろ生命「なないろがん治療保険極」も候補に入ります。
とはいえ、比較なんて面倒です。面倒な比較は最寄りの保険ショップが無料でやってくれます。保険クリニックなら、両社の比較もかんたんにやってくれますよ。
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※2022年9月更新